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「はてな」が東京に来た理由

» 2004年04月26日 22時30分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「京都の大学を卒業した学生が、こぞって東京で就職するのって、おかしいと思いませんか?」――はてなの近藤社長は心から不思議そうに言った。京都には京都大、立命館大、同志社大など大学が数多いが、京都で就職する学生はわずか。特に近藤社長が卒業した京大の卒業生は、多くが東京の一流企業や官公庁に就職する。

 そんな仲間を尻目に近藤社長は、京都という大好きな土地を離れずにどこまでできるか、試してみたかったという。「京都で新しいものを作りたいという学生やフリーターを集めて何かしたいと思っていた」(近藤社長)。

 ただ、京都には企業の数自体が少ないため、競争相手や尊敬できる経営者もあまりいなかった。東京で刺激を受けて、もう一回り大きくなることが必要と考え、「どうしたって京都に来ようとしない友たちが住んでいる」(近藤社長)東京に、小さな事務所を構えた。

 大学院を中退し、カメラマンをやりながら、自分が本当にやりたいことを探していたという近藤社長。「就職せずにフリーターになる人が多いことが問題になっているけど、彼らは、会社が求めていない“何か”を、お金じゃない何かを求めているだけ」(近藤社長)。彼は「はてな」の事業に、その“何か”を見出した。

 そんな“何か”を探している学生たちを集めて、いつか京都に戻って何かやりたい、その思いは消えていないという。

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