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スランプ深まるPDA市場、HPの躍進光る

» 2004年04月28日 14時49分 公開
[IDG Japan]
IDG

 2004年1〜3月期のPDA出荷台数は、従来に続いて落ち込む結果となった。下落幅は例年の季節的要因による減少よりも大きく、継続的な出荷の低迷が一層深まった格好だ。

 同四半期のハンドヘルド機器の出荷台数は、前期比で33.1%減、前年同期比で11.7%減となる220万台だったとIDCのアナリスト、デビッド・リンサラタ氏は述べている。PDAの購入を計画していた多くの人々が、1〜3月期まで待たず10〜12月期の年末商戦で購入に踏み切ったと同氏は説明している。

 IDCは、PDAなどPCと同期する機能を持つポケットサイズの機器を「ハンドヘルド機器」と定義。データの管理・保存機能、拡張カードや内蔵チップを使ってインターネットに接続する機能を持つ機器はこれに含めるが、音声機能を備えた機器は除外される。

 各社がPDA市場のローエンド層にフォーカスする中で、palmOneのZireやHewlett-Packard(HP)のiPAQ h1940などのエントリーレベルPDAの出荷が伸びたとリンサラタ氏。しかしこうした機器の粗利は、高度な携帯電話やスマートフォンとの競争にさらされているハイエンドPDAと比べて少ないという。

 コンシューマーや企業顧客は、連絡先とカレンダー情報を管理するスタンドアロン型PDAに対する関心を失っていると、アナリストは数四半期前からPDAベンダーに警告してきた。その代わりハイエンド機器の購入者は、個人情報管理(PIM)機能を強化した新型携帯電話や、PalmSourceのPalm OSやMicrosoftのWindows Mobileなどの高性能なPDA用OSと携帯電話を組み合わせたスマートフォンに関心を持つようになってきているという。

 こうした新型の携帯電話に対抗するためには、PDAベンダーは無線インターネット機能を機器に組み込むか、GPS追跡機能や動画再生機能などの独自アプリケーションをサポートするしかないとリンサラタ氏は指摘している。

 palmOneの12〜2月期決算報告によると、同社で最も伸びている製品のスマートフォン「Treo 600」は、9〜11月期から12〜2月期にかけて37%の出荷増となった。しかし、palmOneの中核であるハンドヘルド製品の出荷は、2003年10〜12月期から2004年1〜3月期にかけて38.7%減少したとIDCは報告している。

 palmOneは依然として36.1%のシェアを握り、市場全体をリードしている。リンサラタ氏によると、palmOneはコンシューマー市場で大きなプレゼンスを占めているため、季節的要因に特に影響されやすい。palmOneはつい先ごろコンシューマー向けのPDA「Zire」の新型2モデルを発表しており、これがPDA出荷の伸びを後押しすることになるだろうと同氏は語る。

 しかしpalmOneは、Handspring買収で獲得したスマートフォンの専門技術を中心に企業を再編成する方針も示している。

 「ハンドヘルド市場はなくならないだろうが、時代が進むに連れて統合型機器(スマートフォン)の市場規模が次第に大きくなっていくだろう」とリンサラタ氏。

 主要ベンダーの中で1〜3月期に最も伸びたのはHPで、出荷台数を前年同期から24.8%伸ばした。しかし10〜12月期が好調だったため、ほかのベンダーと同様に前期比での落ち込みは免れなかった。

 HPの強みは幅広い製品ラインによるものだ。ユーザーは約300ドルのh1940シリーズから650ドル前後のh5000シリーズまで、幾つかの価格帯で優れたPDAを選ぶことができるとリンサラタ氏は話す。

 ソニーは1〜3月期に3位に付けたものの、前年同期比で49.6%という憂慮すべき落ち込みを記録した。同社はマルチメディア機能の売り込みからPIM機能の強化へと転換を図っている最中だという。

 Dellは前年同期比で2.2%の増加を達成し、4位に入った。東芝は独ベンダーのMedionから5位の座を奪還。Medionは西欧では堅調な業績だったが、10〜12月期の好調ぶりは再現できなかった。

 IDCは、IDG News Serviceの親会社International Data Group(IDG)の一部門。

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