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新パッケージングのPrescott、9月までに続々デビュー

» 2004年06月04日 20時03分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Intelは、新パッケージング技術採用のPentium 4プロセッサ新製品を、今後数カ月以内に8種リリースする計画だ。IntelのWebサイトに掲載された文書によると、その中には初の64ビット拡張機能対応ワークステーション用プロセッサも含まれる。

 この計画は、同社のWebサイトに掲載されたProduct Change Notification(PCN)文書に記されている。この文書ではPentium 4向けに電力管理やセキュリティを強化する計画について、詳細に述べられている。この文書については、ハードマニア向けのWebサイトXbitLabs.comが最初に報じた。

 PCNは、Intelがハードウェア開発者や顧客に、既存製品の変更予定や旧型製品の販売停止計画などを伝えるために定期的に配布している文書。

 8種の新製品のうち5種は、6月21日に予定されているGrantsdale、Alderwoodチップセットの発表とともに登場すると、Intel広報担当者は認めている。両チップセットはPCI ExpressとDDR2メモリに対応する(6月3日の記事参照)。

 これら5種のPentium 4のクロック周波数は2.8GHzから3.6GHzまで。Intelが新たに採用したプロセッサナンバで言うと、2.8GHz版の「520」から3.6GHz版の「560」までだとPCNには記されている。

 Intelはさらに今年7〜9月期に、Pentium 4ブランドとして初めて64ビット拡張機能を有効にしたプロセッサを発表するという。この機能により、64ビットOSを載せたシステム上で32ビットと64ビットのアプリケーションを併用できる。

 PCNによると、この機能に対応したCPUとして、3.6GHz版、3.4GHz版、3.2GHz版の3種が登場の予定。これらは発売時には、デスクトップPC向けではなく、シングルプロセッササーバ・ワークステーション向けに位置付けられる予定だとIntel広報は語る。ただしこの3種を出荷するより先に、Intelはこの機能を備えたデュアルプロセッササーバ向けXeon DPをリリースする見通しだ(2月18日の記事参照)。

 PCNによると、8種のPentium 4新製品と2種の新型チップセットは「LGA775」と呼ばれるピンパッケージング技術(775ピンのLand Grid Arrayパッケージング)を採用する。

 プロセッサのピンはプロセッサとマザーボードをつなぐ。既存のPentium 4は478ピン。ピン数の増加によりプロセッサ内の電気信号の品質を向上させ、Prescottコアからより多くのパワーを引き出せる。

 Intel幹部によると、Prescott版Pentium 4の初期モデルでは64ビット拡張機能がオフになった状態で出荷されている。この拡張機能をオンにして、FSBの高速化やクロック周波数の向上などを図るために、Intelは新しいパッケージング技術を導入する必要があったとMicroprocessor Reportのケビン・クレウェル編集長は指摘した。

 またPCNでは、新ステッピングの一部として、今後のPentium 4に電力管理とセキュリティ機能を組み込むことが確認された。半導体企業はステッピングを変更することで、新しいシリコンチップをテスト・検証する必要なく、既存製品を強化できる。ほとんどの企業はオリジナルのコア設計用に何回かステッピングをリリースして、細かな不具合を修正したり、特定の機能を強化する。

 PrescottはIntel初の90ナノメートルプロセスのプロセッサ。アナリストやPC業界観測筋は、その電力消費量の多さに眉をひそめている。2月に登場した最初のPrescottは、旧世代のPentium 4を上回る90〜115ワットの電力を消費する。

 現在出回っている3.4GHz版よりも確実に高クロックで動作するように、Intelは電力管理の新機能を導入する計画という。

 Intelのポール・オッテリーニ社長兼COO(最高執行責任者)は、5月のアナリスト向けの会見で「AAC」と呼ばれる次期電力管理技術について簡単に紹介したが、詳細は明かしていない。同社は既に、モバイルプロセッサの電力管理に「SpeedStep」と呼ばれる技術を使っている。AACはこれに似た技術だと同社広報担当者は説明する。

 Intelは、新しいステッピングでバッファオーバーフロー攻撃を防ぐ「NX」(no execute)技術を新たにサポートするとPCNには記載されている。オッテリーニ氏は5月に、今後のPrescottでNX機能を有効にする計画だと認めている(5月26日の記事参照)。

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