Wi-Fiは爆発的に成長――でもIPOには要注意
米メリーランド州バルチモアで開催されたWi-Fi Planet Conference and Expoでは6月9日、ワイヤレスインターネットアクセスの爆発的な成長を予測する講演者がいた一方で、別のパネリストたちは、株式公開に踏み切るWi-Fiベンダー各社に注意を呼びかけた。
6月8日~10日に開催されたWi-Fi Planetに集まった来場者は、講演者たちからさまざまなメッセージを受け取ったようだった。Computer Associates InternationalのCTO(最高技術責任者)ヨゲシュ・グプタ氏は、ワイヤレスインターネットアクセスが爆発的に成長すると予測。そう遠くない将来、自動車メーカーは、持ち主の自宅に駐車してある車にワイヤレスでソフトアップグレードを送信し、それを通じて大半の問題を診断し、解決できるようになると語った。
グプタ氏はまた、ワイヤレスインターネットアクセスの普及例としてアーカンソー州パインブラフにあるアーカンソー大学を取り上げた。学生数3000人規模の同校キャンパスはそれ自体が大きなホットスポットとして機能している。ここでは学生と教職員全員がIP電話を持っており、防犯カメラがワイヤレスネットワーク上で動作し、キャンパス内のラジオ・TV局はワイヤレスネットワークを使って信号を放送・放映していると同氏は説明した。
「これからはすべてが――ワイヤレスによって――つながる」と同氏は約100人の聴衆に語りかけた。「こうした全体が急激に普及すると確信している」とも。
ただし、ワイヤレス技術がコンシューマーのさらなる支持を獲得するにはいくつかの課題があることを同氏は認めた。Wi-Fi(IEEE 802.11)、WiMAX(IEEE 802.16a)、またこれらと競合する携帯電話規格など複数の無線LAN規格の存在がコンシューマーを混乱させていると同氏は指摘、いくつかのハンドヘルドOSが競合していることも注目すべき問題だとした。「この状況はまったく統制が効かなくなっている。ベンダー各社は見事なまでに、ユーザーに混乱を引き起こしている」
このほかグプタ氏は、ワイヤレスセキュリティは「極めて複雑だ」と語った。同氏によれば、コンシューマーはセキュリティ鍵を使ってワイヤレスネットワークにアクセスしたり、わざわざホットスポットをスキャンすることを嫌う。彼らは、建物の中に入ってそのまま自分のデバイスをワイヤレスネットワークに自動接続することを望んでいる。
ワイヤレスサービス会社にとっての課題は、セキュリティと同時に使い勝手の良いワイヤレスサービスを提供することだとグプタ氏は強調した。
「(ワイヤレスベンダーは)これを自動的に、かつユーザーにまったく見えない形で実現しなければならない」(同氏)
先に行われたパネルディスカッションでは、投資銀行Bridgewater Capitalのプリンシパル、トム・タウリ氏を含むパネリストらが、IPO(株式公開)の申請に伴う問題点について討議した。タウリ氏によれば、ドットコムバブルの崩壊後、IPOへの関心が再び高まりつつあるが、株式公開企業に対しては、企業会計改革法である2002年サーベンス・オクスリー法を含め、1990年代後半以降に成立した新法の規制がかかるという。
2000年に開催された展示会では、IPOに関するタウリ氏の講演に数百人の聴衆が集まったが、翌年ラスベガスの展示会で同氏の講演に参加したのはわずか4人だった――うち1人はエルビス・プレスリーのものまね芸人だったという。9日のパネルディスカッションの参加者は約20人だった。タウリ氏はIPO市場について、「回復までにあと2年くらいはかかるだろうが、1日に20件のIPOがあった1990年代後半の状態にはならないだろう」と語った。
パネリストたちは、1つの優れた製品を持っているだけではIPOに成功しないと聴衆に警告した。「まず、維持可能なビジネスモデルを確立していなければならない」とDavidson Capital Groupのマネージングディレクター、C.P.シャンカー氏。「それがなければ、IPOの検討さえするべきではない」
タウリ氏によれば、IPOにかかる初期コストは200万ドルあるいはそれ以上だという。3000万ドル未満の資金調達を試みる企業にとって、(IPOは)このリスクを負うほどの価値はないかもしれない。さらに同氏は、ビジネスの状況がめまぐるしく変わり、競争の激しい市場に身を置くハイテク企業はIPOに適した業種ではないかもしれないとも語った。「現実的に言って向こう3~5年間、IPOは進むべき道だとは思わない。(進むべき道は)M&A(吸収合併)だろう」
もっともIPOの成功は、現金の調達以外にいくつかのメリットを企業にもたらすことをパネリストたちは認めている。Intel Capitalの戦略的投資担当ディレクター、ステファン・サルツマン氏は、株式を公開することで、ITベンダーは大手法人顧客の信用を得られ、また企業の価値を容易に判断できるようになると話した。未公開企業どうしの買収では、互いの価値を決めることが難しいためうまくいかないことがあるが、IPOはハイテク企業どうしが互いの価値を見極める上での判断材料になるとパネリストらは語った。
「株式公開企業の場合、その株式は買収を行う際に代用通貨となる」とサルツマン氏は言い添えた。
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