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電子カルテ普及に向け、NECが価格を抑えた新システム

» 2004年06月16日 17時12分 公開
[ITmedia]

 NECは6月16日、400床以上の中−大規模病院向け電子カルテシステム「MegaOak-BS」を発売した。従来よりも安価で短期間に導入できるのが売りで、中−大規模病院の電子カルテ導入促進の起爆剤にしたい考えだ。

電子カルテ画面

 電子カルテシステムは、これまで紙ベースだったカルテを電子化し、病院内LANで共有したり、データベース化できるようにするもので、病院システムのIT化のうち最も注目されているものの一つ。しかし、導入に莫大なコストがかかるほか、設計・構築が面倒で時間がかかるといった問題があり、導入が進んでいないのが現状だ。

 e-Japan戦略の一環として、厚生労働省は2006年度までに400床以上の病院の6割に電子カルテシステムを普及させる目標を掲げる。だが「昨年1月の時点で、電子カルテ導入済みの400床以上の病院は7%に過ぎない」(NECの川渕博史医療ソリューション事業部長)。導入のコストや手間が大きいのに対して、導入効果が見えにくいのがその原因だという。

 従来、電子カルテ導入時は、診療部門、看護部門など病院の各部門ごとに業務コンサルティングを行ない、それぞれに最適なシステムをオーダーメイドで作ってきた。部門ごとの仕様を決めながら、病院全体でも共有できるシステムを組み上げる必要があるため、稼動までには1年以上かかる場合がほとんど。

 1年もの間、仕様を検討しながら構築を進める従来方式では莫大な人件費がかかるのもネック。「電子カルテシステム導入にかかかるコストの5割以上は、SEなどの人件費」(川渕事業部長)。

 新システムは、NECが構築してきた電子カルテシステムを組み合わせ、3種類のパッケージ製品と4種類のオプションパッケージとして提供。仕様を1から検討する手間と費用を抑える。また各部門ごとではなく、病院全体でのIT化の目的をヒアリングしてパッケージの組み合わせを検討するため、部門ごとに調整が必要だった従来よりも導入期間を短縮できるという。

 300床クラスの病院に電子カルテを導入するには3億円程度かかっていたが、MegaOak-BSならば1億8000万円程度に抑えられるとしている。導入期間も半年程度に短縮できる。

 導入効果が見えにくい点については、「大量のカルテをデータベースとして蓄積できるため、患者の病歴などを正確に把握できることや、病院が情報開示を求められたとき、紙データよりも素早く簡単にデータを取り出せる」(川渕事業部長)といったメリットを訴えていく方針。病院勤務経験者を同伴した営業活動も予定している。

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