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» 2004年06月18日 15時11分 UPDATE

Wi-Fiで「WiMAX品質・低価格」を実現するSkyPilot

WiMAX機器が量産され、価格が下がるのはもう少し先。その間にSkyPilotはWi-Fiチップを使って、WiMAXに匹敵する電波の到達距離とサービス品質を低価格で提供しようとしている。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 無線ブロードバンド技術「WiMAX」支持者の一部は、WiMAXチップセットの価格が下がれば、この技術は「次のWi-Fi」になると考えている。しかしある機器ベンダーはこの機に乗じ、現行のWi-Fiチップを使って、WiMAXライクな機能性を提供する機器を比較的安価に提供できると主張している。

 WiMAXを支持するIntelはコスト引き下げに向けた戦いを続けており、6月17日に無線インフラメーカーProximと協力して、WiMAX対応のベースステーションと加入者設備、そしてほかのシステムベンダーが利用できる参照設計を開発することを発表した(関連記事参照)。

 WiMAXは、データや音声を数Mbpsの速度で数マイル先まで転送できる技術。これに対抗する低価格技術は、シカゴで開催の展示会SUPERCOMMでSkyPilot Networkが明らかにしたものだ。同社は、IEEE 802.11aチップセットに付加技術を加えることで、WiMAXに匹敵する電波の到達距離とサービス品質を提供することを目指している。SkyPilotの技術は標準的なWi-Fi機器とは互換性がないが、スケールメリットによる低価格化の恩恵が受けられるだろうと、同社マーケティング担当副社長リンダ・カルシック氏は語る。

 「われわれは今、この市場にスケールメリットをもたらせる。一方、WiMAXでそれが実現されるのは2〜3年後だ」とカルシック氏。SkyPilotの機器は8月に大量出荷が始まり、加入者設備は宅内・宅外それぞれ349ドルで提供される。通信サービス利用者に提供されるほかの機器と同様に、通信事業者がエンドユーザーに補助金を提供する可能性もある。

 WiMAX Forumは年内に、WiMAX製品の認定を開始する計画だ。WiMAX機器向けチップを製造するIntelは、宅外加入者設備は来年初頭には300〜500ドルからの価格で提供されると予測している。来年の後半には、宅内設備は200ドル程度になり、2006年には100ドルを切るノートPC用アドインカードが登場する見通しという。しかしWiMAX機器の値下がりは、その販売開始時期にも影響されるだろう。アナリストとベンダーは、それほど急速な値下がりはないだろうと考えている。

 SkyPilotは、企業顧客やサービス事業者が、802.11aの標準的な到達範囲100フィート(30メートル)弱を、構成によって2〜20マイル(3.2〜32キロ)にまで拡張できるようにする。同社のベースステーション「SkyGateway」は通信事業者や企業のニーズに応じて、見通し状態、非見通し状態、またはメッシュ構成で利用できる。

 SkyGatewayは複数の指向性アンテナを持ち、それぞれのアンテナは1方向の送信電力に集中している。これらのアンテナを短い時間間隔で切り替えることで、SkyGatewayは360度をカバーできると、SkyPilotのエンジニアリング担当副社長ポール・ゴードン氏。またSkyGatewayは、「SkyExtender」というデバイスと併用するとメッシュ構成で使用でき、有線バックホールがなくても、障害物を避け、1台のSkyGatewayの到達範囲の先にまで接続できると同氏は説明する。エンドユーザーは標準的なWi-FiクライアントではSkyPilotのネットワークに接続できないが、同社は顧客からのフィードバックに基づいて、将来的にWi-Fiと互換性のある機器を開発するかもしれないとカルシック氏は話している。さらに同社はこの先、別の製品ラインとしてWiMAX機器の投入を計画している。

 さらに同社は、音声通話をサポートするシステムを設計したことも明らかにした。ゴードン氏によると、同社のネットワークは転送をスケジューリングするシステムにより、トラフィック遅延を少なく抑えることができる。

 やや小規模なISP(インターネットサービスプロバイダー)は、安価なWiMAXの代替機器に飛びつくだろうが、通信事業者が大規模に導入するには、標準化と互換性のある製品が必要だとアナリストは指摘する。

 「企業はSiemensの機器を買って、Alcatelの機器と併用できるようにしてほしいと思うだろう」とRHKのアナリスト、タッド・ニーリー氏。

 米国以外のサービス事業者も、無線ブロードバンド導入にもっと積極的になりそうだとGartnerのアナリスト、キャシー・ハックラー氏は語る。しかし、確立した通信事業者には、ほかの製品との互換性が重要だと同氏。

 「確かに安価なサービス導入方法を探しているという点で、サービス事業者は財布のひもを締めている。だがそれと同時に、彼らは信頼できるものを求めている」(同氏)

 「WiMAXやほかの技術とどう統合し、どう関連させるかが大きな問題だと思う」と同氏。

 SkyGatewayは2499ドル、SkyExtenderは499ドル。サービスプロビジョン・管理用のSkyProvisionとオプションのSkyControlソフトは、それぞれ1000ユーザーにつき499ドルと2499ドル。

 IntelとProximは、WiMAX製品を迅速に開発し、ベンダーが自由に独自の革新的なソフト機能を開発できるようにすることを目指していると、IntelのWiMAX担当マーケティングディレクター、ジョー・イングリッシュ氏は語る。両社は協力して最初の世代の固定WiMAX機器と、新しいIEEE 802.16e仕様をベースにした将来のモバイルWiMAX機器を開発する計画だ。

 両社が開発する製品アーキテクチャは、Proxim製品で使われるとともに、参照設計としてほかの機器ベンダーにライセンス供与されると、Proximの製品マーケティングディレクター、ジェフ・オール氏。

 「ベンダーの立場から見た利点は、シリコンチップの開発に関してIntelの専門家と協業できることだ」と同氏。それにより、Proximは独自の特殊な機能なソフトの開発にさらにリソースを注げるだろう。

 オール氏によると、Proximはこの提携の恩恵をほかのベンダーに広げることについて心配はしていないという。参照設計の他社への提供は、世界各地でさまざまな顧客を相手にする機器メーカーを網羅する可能性を持つWiMAX市場の拡大に貢献するはずだと同氏は述べている。

 「ある時点のあらゆるニーズを解決できる1つの製品は考えていない」(オール氏)

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