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1Gバイトのメールボックスは必要か?

» 2004年06月24日 20時21分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 Googleらしいエイプリルフールの冗談かとすら思われた容量1GバイトのWebメール「Gmail」。これに対抗する形で米Yahoo!が「Yahoo Mail」無料版の容量を100Mバイトに拡張すると発表、Microsoftの「Hotmail」と日本の「Yahoo!メール」も6月24日、容量の大幅な拡張を発表した。NTTレゾナントも同日、秋頃をめどに「gooフリーメール」の容量を拡張することを明らかにした。

 各社が容量拡大に踏み切る背景には、Gmailへの対抗に加え、ブロードバンド人口の拡大がある。「大容量のデータが瞬時に送れるようになったため、デジカメ写真データなどを大量にやりとりしてメールボックスが一杯になるユーザーが増えた」(マイクロソフトMSN事業部サービス部コミュニケーションサービスグループの佐藤秀一シニアプロダクトマネージャ)。Hotmailユーザーの半分近くが、容量不足を不満として挙げており、大容量化でユーザーの満足度を高めるねらいだ。

 ただし大容量化のニーズは理解しつつ、1Gバイトもの超特大メールボックスは不要というのがマイクロソフトの主張だ。「ギガバイトレベルを必要とするユーザーはごく少数。米国のユーザーテストでも、250Mバイトで十分との結果だ」(佐藤シニアプロダクトマネージャ)。

 ヤフーも同様の考え。容量拡張は「米Yahooの意向とユーザーニーズを受けて」(ヤフーマーケティング部)決めたが、無料版では25Mバイトにとどめる。秋までに段階的に2Gバイトまで引き上げる方針だが、Yahoo!BB会員や有料ユーザーのみ2Gバイトにするか、無料ユーザーも含めて2Gバイトにするかは未定だ。

 ヤフー、マイクロソフトとも「容量だけ増やすのは意味がない」とは口を揃える。Hotmailが無料でウイルスチェックも行うように、両社ともスパム/ウイルスメール対策などGmailが手薄な分野に力を入れる。さらにメッセンジャーとの連動機能、スケジュール機能との連携など、自社Webサービスと連携できる利便性も強調していく。

ユーザー増で広告収入、ブランド力アップを

 「Hotmailの収益のうち、9割以上が広告収入」(MSN事業部長の塚本良江執行役)という現状では、ユーザー数が直接・間接的に収益を左右する。大容量化には投資負担も伴うが、サービスの拡充で多くのアクティブユーザーを囲い込めば、広告や有料サービスからの収入増も期待できる。

 ヤフーも同様に、広告収入や自社サイトへの誘導力アップを見込む。「生活に不可欠なツールであるメールサービスを多くの人に使ってもらうことで、ヤフーのブランド力を高める」(ヤフーマーケティング部)。

 これに対し、容量4Mバイトの無料メール「エキサイトメール」を提供するエキサイトと、同10Mバイトの「infoseekメール」を提供する楽天は「今のころ容量拡張の予定はない」としている。

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