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MS、アマチュア向けVisual Studio“Express”版を発表

» 2004年06月29日 18時46分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは6月29日、より多くのソフト開発者にリーチを拡大するべく、特定のプログラミング言語に対応した開発ツール「Visual Studio」をスリムダウンした「Express」エディションを発表した。

 さらに同社は、初歩レベルのWeb開発者向け製品「Active Server Pages(ASP).NET Web Matrix」の論理的な後継となる「Visual Web Developer 2005 Express Edition」も発表。また、SQL Serverデータベースの軽量版「Microsoft SQL Server Desktop Engine(MSDE)」の名称を「SQL Server Express Edition」に変更した。

 MicrosoftはこれらVisual Studioファミリーの新メンバーが、全世界で推定1800万人のアマチュア開発者を引きつけると期待している。フルバージョンのVisual Studioは世界で600万人のプロの開発者をターゲットにしていると、同社のデベロッパー部門マーケティングディレクター、ジョン・モンゴメリ氏は語る。

 「アマチュア開発者から受けたフィードバックの中に、当社のプロ用ツールは大きすぎ、複雑すぎるとの意見があった。彼らは、自分のやりたいことにフォーカスした、小さな製品を望んでいた」(同氏)

 Express EditionはVisual Basic、Visual J#、Visual C#、Visual C++に対応し、価格は100ドルを切る。サイズは30Mバイト以下で、マニアやホビイスト、学生を対象としているとモンゴメリ氏。

 同氏によると、開発者がプログラミングに取りかかる手助けをするため、Amazon.com、eBay、PayPalは、自社のオンラインサービスと連係するWebまたはWindows用アプリケーションを簡単に開発できるよう、サンプルコードを含むキットを提供するという。

 ローエンド開発ツールの提供は、業界では一般的なことであり、自社プラットフォーム(Microsoftの場合は.NET)に開発者を取り込もうとするベンダーの重要な戦略の一環だと、Meta Groupの調査サービス担当副社長トーマス・マーフィ氏は指摘する。

 「Java陣営にしても.NET陣営にしても、誰が最大の市場シェアを獲得するかという争いがある。そして市場シェアの獲得は開発者から始まる」(同氏)

 Microsoftは.NETへの支持を求めているだけでなく、自社のSQL Serverデータベースも推進している。自作のアプリケーションに軽量データベースを必要としている開発者は、同社のSQL Server Expressを利用できる。このソフトは無料で提供され、SQL Server 2005の機能性の大半を備える。しかしサイズは最大4Gバイトに制限され、シングルプロセッサにしか対応していない。

 SQL Server Expressは、1999年のSQL Server 7.0のリリース以来提供されているMSDEの後継となる。この「デスクトップデータベース」は、「MySQL」「PostgreSQL」などのオープンソース製品や、IBMのDB2の軽量版、Oracleのデータベース製品と競合している。

 これらExpressエディションの発表は、Microsoftが蘭アムステルダムで主催しているTechEd 2004 Europeで行われた。同社はこのイベントで、Visual Studio 2005のβ1とSQL Server 2005のβ2を配布する見込みだが、これらテスト版はまだ完全ではない。それでもMicrosoftは、今週末までにVisual Studioのβ版を、その直後にSQL Serverのβ版を提供開始することを目指していると同社の広報担当者は語る。

 Microsoftによると、Expressエディションのβ版は今週中にオンラインで提供開始される予定。これら製品の正式名称は「Visual Basic 2005 Express Edition」「Visual C# 2005 Express Edition」「Visual C++ 2005 Express Edition」「Visual J# 2005 Express Edition」となる。

 Expressエディションの製品版は、Visual Studio 2005とSQL Server 2005の製品版と同時にリリースされる予定。その時期は来年前半になると見られている(3月11日の記事参照)。

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