ITmedia NEWS >

四半世紀を迎えた3Com、マサチューセッツを礼賛

» 2004年07月01日 15時43分 公開
[IDG Japan]
IDG

 ネットワーキング機器ベンダーの米3Comは6月29日、創業25周年とマサチューセッツ州への本社移転1周年を記念して祝賀行事を行なった。

 ボストン近郊の本社で行なわれたこのイベントでは、同社の数百人の社員を前に、マサチューセッツ州のミット・ロムニー知事と同社最高経営責任者(CEO)ブルース・クラフリン氏が簡単なスピーチを行い、両氏とも、同社が昨年まで本社を構えていたカリフォルニア州と比較して、マサチューセッツ州の税制がいかに優れているかをほめたたえた。

 ロムニー知事は、カリフォルニア州の個人所得税率は最大9.3%に及ぶのに対し、マサチューセッツ州は5.3%で、またカリフォルニア州の売上税は7.5%であるのに対して、マサチューセッツ州は5%だと指摘。さらに同知事は、マサチューセッツ州では経営難に直面している企業は州税の支払いを延期できるが、カリフォルニア州にはそうした措置はないと指摘している。

 「カリフォルニア州に比べて、マサチューセッツ州には驚くべき利点がある。どちらも、技術の観点から見て強力な州だ。われわれの利点は税率で、彼らの利点は天気だ」とロムニー知事は講演後の短い記者会見で語った。

 クラフリン氏もこの意見に同調し、「われわれがなぜマサチューセッツ州を気に入っているかと言えば、かつて『Taxachusetts』として知られていた州が今はそうではない点だ」と語っている。

 マサチューセッツ州には130校もの大学があり、「膨大」な教育やクオリティの高い医療を受けられるだけでなく、信頼性の高いインフラや改善された交通システムのおかげで、マールボロからボストンのローガン国際空港まで迅速なアクセスが提供される。さらにクラフリン氏は、同社がマサチューセッツ州に移転して最初の1年で、同氏が「経営再建の取り組みにおける里程標」とした5%の成長を遂げたと語る。

 またロムニー知事は、3ComがIT不況とテロ後の経済不振の「パーフェクトストーム」を生き延びていることを高く評価した。

 ただし、このイベントに参加したアナリストらによれば、3Comの業績好転は長い道のりだという。同社の売上高は1998年には1四半期で13億ドルを超えていたが、今年5月28日締めの会計年度では年間売上高はわずか6億9900万ドルだったとアナリストらは指摘している。

 ボストンの独立系アナリスト、ゼウス・ケラバラ氏は、3Comは中小規模企業向けの機器プロバイダーとしては知られているが、大手企業向けのネットワーキング機器の販売では知られていないと指摘している。例えば、3Com VCX IP Telephony Solutionは技術的には優れた高品質スイッチであるにもかかわらず、多くの顧客にアピールするには至っていないと同氏。

 「3Comはもっと大企業の顧客を増やす必要がある。そして、そのためにはこの先1〜2年が重要になる」(同氏)

 クラフリン氏も、3Comがもっと大手企業顧客への販売を強化する必要がある点に同意している。同氏はネットワーキング大手のCisco Systemsをちくりと批判し、顧客を自社の技術で囲い込むCiscoのやり方は「封建的」で、まるで「奴隷に土地を耕させている領主」のようだと指摘している。

 ケラバラ氏も含め、アナリストらは、3Comにとっては、まずCiscoを200億ドル規模の巨人として認め、このライバルと効果的に戦える市場セグメントを見つけることがプラスになるだろうと指摘している。

 3Comは1979年に、ボブ・メトカルフ氏が共同で創業した。メトカルフ氏は1972年にイーサネットを発明した人物。3Comは1979年に初めてのイーサネット・ネットワークカードを発表した企業で、現在1146件の特許を有し、そのほかにも613件の特許を出願中だ。データ通信分野では、どの企業よりも多い数字だとクラフリン氏は語っている。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.