「IT業界に来る次のビッグウェーブ。それこそがDigital Officeだ」とブチ挙げたのは、IDF Fall 2004で基調講演を行ったIntel副社長兼デスクトッププラットフォームグループ事業部長のビル・スー氏である。
“Digital Office”とはIntelが作ったキーワード。同社は数年前からDigital Homeというコンセプトを推進しているが、Digital Officeはそれをオフィス環境に当てはめたものと言えそうだ。
Intelの進めてきたDigital Homeコンセプトは、家庭内で扱われる情報やコンテンツがデジタル化され、同時にネットワーク化が進むことで、デジタル技術がより魅力的に活用できる環境へと誘う家庭向けのコンセプトモデルだった。当初構想よりも実現はやや遅れたとはいえ、ワイヤレスLANの普及や「Digital Living Network Alliance」(DLNA)といった標準化団体の立ち上げにより、いよいよ市場が花開こうとする段階にさしかかっている。
Digital Officeは、情報の電子化とワイヤレスネットワークの普及が進むオフィスの中で、ユーザーが抱えている問題を解決することで業界を活性化させるコンセプトモデルである。
「我々の顧客が抱えている問題は、大きく4つの分野に分けることができる。管理性とセキュリティ、労働者の地域的分散、情報の過多、そして情報の可搬性だ」とスー氏。
スー氏によると、企業によるワールドワイドのIT投資は年間1兆ドルにも上るが、その半分をシステムの管理コストが占めている。そしてさらにその大半は人件費に費やされている。また、言うまでもなくワームやウイルスによるセキュリティ脅威、それに“迷惑”の域を超えた膨大なスパムトラフィックはユーザーの大きな悩みだ。
一方、地球規模で製品開発・生産を行うことも増えてきている。地域に限定されないコラボレーションは、大企業だけでなく、中小あるいは個人事業者もインターネットを通じて可能になってきている。ビジネス向けインスタントメッセージング(IM)やVoIPの活用もそうした問題へのソリューションのと言えるだろう。ただし、同じ会議室で話し合うほどには、自然なコミュニケーションはできない。
また、コンピュータで扱う情報量は驚くほどのペースで上昇している。今後はRFIDなどによってデータの入り口が広がることで、さらに爆発的に情報の量が増えていくことだろう。ところが、爆発的とも言えるデータを保存していても、それを分析しないまま置いているのが現状である。これを解決しようというのがもうひとつのトレンドだとスー氏は指摘する。
最後の、情報の可搬性は、いつでもどこでも、ビジネスデータにアクセスし、仕事を行える環境を構築できるかどうかが、競争力の違いにつながっていくという考え方だ。移動時間を有効に利用、あるいは移動を最小限に抑えられるかどうかは、インターネットへの高い接続性が必要になる。
「しかし、これらは課題であると同時に、我々にとってのチャンスでもある。顧客から与えられた課題とは、ニーズの裏返しでもあるからだ。そこで我々はDigital Officeというビジョンを用意した。みんなでその問題に取り組み、考え、そして具現化しよう(スー氏)」
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