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» 2004年09月10日 13時00分 UPDATE

「犯罪者」になるP2Pユーザーが増える?――著作権法案に批判

米下院で審議されるこの法案は「意図的に」著作物を交換したユーザーばかりでなく、「リスクを認識しながら、それを軽視して」いたユーザーも対象とするため、著作権侵害で刑事告発される人が増える可能性がある。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 刑事犯罪に当たるインターネットファイル交換の定義を拡大する法案が9月8日、米下院司法委員会を通過した(9月9日の記事参照)

 票決により下院での本審議が決まったこの法案「Piracy Deterrence and Education Act of 2004」(PDEA)は、刑事犯罪となる著作権侵害の定義を拡大しており、著作権侵害で刑事告発される人を増やす可能性がある。音楽ファイルなどの著作権付き作品を「意図的に」配布している人に加えて、「それ以上の侵害行為を行えばリスクがあると認識しながらも、そのリスクを軽視して(つまり「認識ある過失」により)」著作権付き作品を配布する人物まで対象に含められる。

 反対派は、この法案はP2Pソフトユーザーから犯罪者を作り出すものだと主張している。P2P業界団体のP2P Unitedはそうした方法の代わりに、レコード業界がP2P企業と協業して、アーティストにダウンロードの対価を支払う道を模索することを提唱していると、同団体のエグゼクティブディレクター、アダム・アイスグラウ氏は話している。

 アイスグラウ氏にコメントを求めたところ、メールで次のような返答が送られた。「エンターテインメント企業が著作権行使の負担を米国民に転嫁することを連邦議会が許しても、ダウンロードユーザーを刑務所に送ったり、民事訴訟でカレッジファンドを台無しにしたところで、P2P技術の魔神をツボに戻すことはできないし、文字通り数十億件のダウンロード――何回もの調査で、当面は毎年増え続ける見通しが明らかになっている――の対価をアーティストに支払うこともできない」

 PDEAは前のバージョンから改良が加えられているが、それでも「あまりにあいまい」であり、コンピュータネットワーク上に格納された素材に対する犯罪行為を作り出す可能性があるとデジタル権利擁護団体Public Knowledgeは指摘している。この法案は、最大の刑罰を初犯で懲役5年とし、さらに一部の著作権侵害について、違反1件につき最大1万ドルの民事罰も規定している。

 またラマー・スミス下院議員(テキサス州選出・共和党)が提出したこの法案は、ファイル交換に対する刑罰について説明した警告書を、ファイル交換者にアクセスを提供するISPに送付する権限を米司法省に与える。ISPはこの警告プログラムに義務ではなく任意に参加でき、参加費用も回収できるという点が前のバージョンから変わっている。

 この法案の目的は、捜査当局がもっと多くの著作権侵害を訴追できるよう支援することにあるとスミス議員は声明文で述べている。

 「インターネット、特にP2Pネットワークを経由した知的財産の海賊行為は、憂慮すべきレベルに達している。海賊行為にかかる費用は、ほかの違法な経済活動と比べると非常に小さく、利益はけた外れだ。当局に目を付けられるリスクも比較的低い。ローリスク・ハイリターン、これが海賊行為に対する犯罪者の見方だ」(同議員)

 これとは別に下院司法委員会はこの日、保護されたコンピュータに許可なくアクセスし、それを利用してプライバシーやコンピュータセキュリティを侵害する行為に対する刑事罰を定めたスパイウェア対策法案も可決した。

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