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顧客情報の無断流用で、米スーパー・薬局チェーンを提訴

» 2004年09月13日 15時07分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米サンディエゴの権利擁護団体Privacy Rights Clearinghouse(PRC)が、米スーパーマーケットチェーンのAlbertson'sとその傘下の薬局SavOn、Osco、Jewel-Oscoを相手取って訴訟を起こした。

 訴状は米カリフォルニア州サンディエゴ郡の州地裁に提出され、Albertson'sが薬局の顧客の機密情報を、大手製薬会社のマーケティングキャンペーンに不正流用したとして、プライバシー権の侵害を訴えている。

 Albertson'sの広報担当者は、この訴えは「誤りであり、まったくメリットがない」としている。

 「当社は薬局の顧客のプライバシーを大いに尊重しており、彼らの個人情報を販売していないし、販売したこともない」とこの担当者は電子メールの声明文で述べ、同社は原告の申し立てに対し、「積極的に」抗弁するとしている。

 この訴訟は9月9日に発表されたが、最初は5月に起こされた。Albertson'sのマーケティングキャンペーンに加わっていた企業すべての名前が出そろったタイミングで発表したと、PRCの代理人を務めるFinkelstein & Krinskの弁護士ジェフリー・クリンスク氏は語る。

 この訴訟の「共謀者」「教唆者」の中には、1ダースを超える米国の大手製薬会社の名前も見受けられる。

 この訴訟は、一企業が個人の機密情報を、本人に知らせることも、同意を得ることもなく営利目的で利用した「言語道断な例」だとPRCのディレクター、ベス・ギブンズ氏は記者会見で語った。

 Albertson'sは「カリフォルニア州法に反する詐欺的な慣行」に従事したと同氏。

 問題は、Albertson'sが調剤のために集めた機密情報を使って、自社の薬局の顧客が製薬会社からのターゲットマーケティングメッセージを送ったことだとされている。

 訴状によると、Albertson'sはこの機密情報を抽出して別のデータベースに格納している。この情報は、顧客に「処方薬を新しくし、今の薬と同じ製薬会社が作っている新しいバージョンの薬に乗り換えるか、別の薬に乗り換える」よう促すターゲットマーケティングに使われているという。

 マーケティングメッセージはAlbertson'sから送られてきたかのように見えるが、実際はほとんど製薬会社が書き、承認したものだと訴状にはある。Albertson'sはマーケティングメッセージ1通につき最大4ドル50セント、宣伝の電話1件につき最大15ドルを製薬会社から受け取ったという。

 Albertson'sの行為は、こうしたマーケティングメッセージの配布に機密情報を利用するに当たって顧客に通知せず、承諾を得なかったため、カリフォルニア州のConfidential Medical Information Actに違反するとクリンスク氏は主張する。この訴訟は同社に対し、問題の行為をやめ、このように機密情報を利用することで得た利益を返却するよう求めている。

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