Yahoo!メールがタダで容量拡張する理由
「『無料サービスがほとんどのYahoo!メール。容量拡張しても、設備投資がかさむばかりで儲からないのでは?』という質問をよく受けるが、メールユーザーこそ成長の原動力だ」(ヤフーPS本部マーケティング部の大蘿淳司部長)。
ヤフーは10月14日、Webメール「Yahoo!メール」のメールボックス容量を、最大2Gバイトまで順次拡張すると発表した。Yahoo! BB会員は2Gバイト、Yahoo!プレミアム会員(月額税込み294円)は500Mバイト、無料ユーザーは100Mバイトのスペースが利用可能になる。あわせて、送受信メールの添付ファイル容量も10Mバイトまで拡張し、添付可能ファイル数は最大3つから5つに増やした。
「容量拡張のため、サーバ増強などシステムへの投資はかなり行ったが、見返りは十分期待できる」と、ヤフー社長室長兼Y!BB事業部長の喜多埜裕明取締役は話す。
カギを握るのは、Yahoo!メール申し込み時に取得する「Yahoo! ID」だ。
Yahoo! IDは、Yahoo全サービス共通で利用可能。大容量に惹かれてメールサービスを申し込んでもらえば、同じIDで利用できるオークションやショッピング、Yahoo! プレミアムなどといった課金サービスを利用してくれる可能性も高まり、結果として収益アップにつながるという算段だ。
7月からは、アドレスブックやカレンダー、ノートパッドといったヤフーの他サービスを、メール画面から直接利用できるようにした。「オークションやフォトなどもメール画面から利用できるようにし、Yahoo! IDとの連動をさらに進めたい」(Y!BB事業部企画室の佐藤正憲プロデューサー)。
メールユーザーは、他サービスより幅広い層にわたっている。「Yahoo!全体のユーザーは男性7:女性3だが、メールはほぼ半々。年齢層も幅広い」(佐藤プロデューサー)。メール機能を強化してさまざまな層のユーザーを獲得し、他サービスへの間口を広げたい考えだ。
また、携帯電話でYahoo!メールを利用できるiアプリも9月に提供開始した(関連記事参照)。PC以外のデバイスからもYahoo!メールにアクセスできる環境を整え、利便性を高める。
メールユーザーが広告収入を増やす?
Yahoo! IDユーザー増は、広告収入アップにもつながる。「Yahoo! IDを持っている人は、持っていない人の約4倍(ページビュー比)Yahoo!コンテンツを見ている」。ID保有者が増えれば、Yahoo!に掲載する広告もさらにひんぱんに見てもらえ、広告媒体としての価値が上がるというわけだ。
ビデオリサーチインタラクティブの調べによると、Yahoo!メール(yahoo.co.jp)の8月時点のユーザー数は、466万2000人で、国内メールユーザーの55.7%を占めた。2位のHotmail(hotmail.com)は356万2000人だった。
「ビデオリサーチの調査は家庭からの利用者に限ってのものだが、家庭以外からアクセスしているユーザーも合算すると、9月時点で819万人がYahoo!メールを利用している。日本ナンバーワンの数だろう」(大蘿部長)。MSNは10月14日、Hotmailユーザーが国内で520万人を突破したと発表している。
送信者認証技術導入へ
迷惑メール対策にも力を入れる。「未使用だったyahoo.co.jpドメインのメールアドレスをいくつかアクティブにし、今年1月から2月の1カ月間放置したところ、特にひどかったアドレスでは1日平均831.2件もの迷惑メールが届いた。カスタマーサポート宛ての迷惑メールも1年で10倍に増えており、業務に支障をきたすレベルだ」(佐藤プロデューサー)。
同社はYahoo!メールに「迷惑メールフォルダ」を設置。迷惑メールと判断されれば自動で振り分けられるようにした。7月からは、ユーザーがヤフーに迷惑メール受信を通知できる機能を搭載している。
また、フィッシング詐欺防止のため、米Yahoo!が開発中の送信者認証技術「Domain Keys」の導入も検討中だ。
Domain Keysは、IPアドレスで認証するSender IDとは異なり、電子署名で認証する。「まだ導入の検討を始めたばかり。技術実験も行っていないため、いつ導入するかは分からない」(喜多埜取締役)。
また、ブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)参入についても検討中だという。「ブログやSNSは一時的な流行かもしれないとも考えており、慎重に検討して参入するかどうか決めたい」(喜多埜取締役)。
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