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3次元LSI事業化へ東北大教授がベンチャーCTOに

» 2004年11月16日 20時48分 公開
[ITmedia]

 東北大学は11月15日、「3次元LSI」の開発を進めるベンチャー、ザイキューブの取締役CTO(最高技術責任者)に、大学院工学研究科の小柳光正教授が就任したと発表した。技術協力を本格化し、3次元LSIの量産化を進める。

 3次元LSIは、複数チップやウエハーを積層して1つのLSIとして機能させるデバイス。小面積のチップを重ね合わせ、各層間を貫通配線で結ぶため、従来のSoC(System on Chip)のような長距離配線が不要。このためSoCで課題となっている配線抵抗を抑えることができ、性能を高めて低消費電力化できる。並列化による高速演算も可能だ。

 小柳教授は1980年代後半から3次元LSIの核となる配線技術の研究に着手。既にフォトダイオードと信号処理CMOS回路を積層した人工網膜チップの試作に成功している。

 ザイキューブは2002年に設立され、超先端電子技術研究組合(ASET)で3次元LSIを研究開発してきた盆子原學氏が社長を務める。これまでも小柳教授と協力し、仙台市に開発センターを設置して開発を進めてきた。実用化・量産化フェーズに入るのを前に、小柳教授を経営陣に迎えて態勢を整えた。

 同社は「セミファブレス」とし、チップ製造の全500工程のうち、3次元積層化に必要な30工程のみ自社ファブで処理する。このため試作ラインへの投資額が少なく済み、早期の事業化が可能という。来年後半に8インチウエハー対応試作ラインを構築し、2007年に2層型を量産化する計画。2008年には3層型の量産も始める予定だ。

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