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PC大手3社が「3年以内に消える」――Gartner予測

» 2004年11月30日 09時44分 公開
[ITmedia]

 IT市場調査会社の米Gartnerは11月29日、PC市場では今後、成長率の鈍化と利益率の減少からメーカー間の統合が起き、現在の市場トップ10社のうち3社が、2007年までに市場撤退を余儀なくされるだろうとの予測を発表した。

 同社によると、世界のPC出荷台数の伸びは、2003年から2005年にかけては年率11.3%だが、2006年から2008年にかけては、その約半分の年率5.7%に落ち込むと予想される。また金額ペースでも、2003〜2005年の年率4.7%から、2006〜2008年には年率2%に半減する見通しだ。2006〜2008年のPC市場の伸び率の6割以上は、中国などのエマージング(新興成長国)市場が担うことになるという。

 2005年はリプレース需要から世界のPC出荷台数はかなり好調となるが、「このリプレースサイクルが終わって2006年以降になると、最大手PCメーカーでさえ存続に四苦八苦するだろう」とGartnerのクライアントプラットフォームグループ調査担当副社長、レスリー・フィアリング氏は述べている。

 現在の世界PC市場上位10社は、Dell、Hewlett-Packard(HP)、IBM、富士通、東芝、Acer、NEC、Lenovo Group(聯想集団:Legendから社名変更)、Gateway、Appleだが、過去数年間、継続して利益を出しているのはDellのみ。Gartnerでは、「HPとIBMは、損益面で足を引っ張り過ぎると感じた場合、PC部門を切り離す可能性が高い」と見ている。

 リプレース需要に陰りが出て、エマージング市場の重要性が増し、メーカーの成長率維持が難しくなったとき、PCの価格競争はさらに激化するだろうとGartnerは指摘する。

 「世界展開しているメーカーは、サプライチェーンの効率を最大限に引き上げる努力の継続を求められるが、最終的には、価格とサービスレベル以外、メーカー間の差別化要因はなくなるだろう。メーカーの中には、家電など関連市場へと業務を拡大して利益率確保を狙うところもあるだろうが、競合他社との合併によって、スケールメリットで利益率を改善しようとするメーカーもいるかもしれない」とフィアリング氏。

 そして同氏は、「世界規模で展開し、利益とシェアの確保が難しいメーカーにとって、唯一残された道は市場撤退かもしれない」と加えている。

 反対に、中国のLenovoのような地域密着型ベンダーは、自国市場の拡大とローコスト経営モデルを武器に、世界的プレゼンスを拡大していくチャンスがあるとGartnerは指摘している。

 「エマージング市場のローカルPCメーカーは、自国市場でのポジションを固めてスケールメリットを出し、さらに世界に乗り出すために、自国の同業他社買収を検討すべきだろう」(フィアリング氏)

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