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» 2004年12月07日 10時55分 UPDATE

“目的のない”MMORPG、なぜ女性を惹きつける?

ユーザーの8割が女性のMMORPG「ダイナスティア」。戦いも目的もない同ゲームは、男性パワーゲーマーには理解されないが、ネット初心者の女性から支持を得ている。

[岡田有花,ITmedia]

 ユーザーの8割が女性で、多くが初心者――男性パワーゲーマーが大半のMMORPG界で、異彩を放つネットゲームがある。初の女性向けMMORPGとして2002年にスタートした「女神幻想ダイナスティア」だ(発表時の記事参照)

 当初、有料サービスだった同ゲームだが、昨年末にスポンサーが撤退。今年3月からはクライアントソフト、利用料ともに無料化して再スタートを切った。運営団体「シークレットガーデン」のスタッフも全員ボランティアだ。(関連記事1関連記事2)。

目的のないゲームの魅力

 ダイナスティアには、戦闘もレベルもお金も目的もない。アイテムはあるが、やがて腐って消えてしまう。敵もいないし、倒すべきボスもいない。キレイな男の子はたくさん出てくるけど、彼らを落とすことはできない。このゲームに目的は、ない。

yu_seacret_01.jpg 男性キャラと仲良くなれば、デートに誘われることも。ただし男性キャラの独占はできない

 「ゲームに慣れている人には理解されない」と、同ゲームのディレクター・石山隼行さんは言う。あるゲーム会社に、ダイナスティアを売り込んだ時に聞かれたのは「で、このゲームの目的は?」――「ない」と答えても、全く理解してもらえなかった。

 ゲームが得意な人はもともとターゲット外。ダイナスティアをプレイして欲しいのは、ネットやゲームに慣れていない女性。戦いや誹謗中傷のない、ダイナスティアの優しい世界で、毎週更新されるストーリーや、ユーザー同士のチャットを楽んでもらい、インターネットという“世知辛い現実社会”の入り口になれば、と考えて開発した。

 「ダイナスティアは、ネット界の公園」――プロデューサーで漫画家の桃木毎実さんは話す。危険の多い外界に出る前に、柵で守られた公園で社会生活の技術やルールを身に付け、コミュニケーションの楽しさを学ぶ――ダイナスティアをそんな場にしたかった。

 ユーザー同士が中傷しあったりせず、楽しくコミュニケーションできるよう、優しい人ほど得をするシステムにした。キャラクターに優しく接すれば好感度が上がり、他のユーザーに優しく接すれば情報をもらえる。「正直者がバカを見ない、まじめにやっていると報われる世界」(桃木さん)。ネットもゲームも始めての初心者ゲーマーに、コミュニケーションの“成功体験”をしてもらい、ネットを楽しさを学んでもらうねらいだ。

yu_seacret_02.jpg ユーザー同士はゲーム内で自由に会話できる。画面は、ユーザーアバターがお互いのファッションを披露する「ファッションチェック」の様子

「女性向けネットゲーム、これから伸びる」

 サービスを全面無償にした3月当時、数百人だったユーザーは11月に4000人を突破。着実にその数を伸ばしている。「女性ユーザ向けネットゲームは、まだまだ広がる余地がある」と、石山さんは手ごたえを感じている。

 ユーザーの大半20−30代の女性だが、最近は小中学生が増え、約1割を占める。「戦いも争いもない世界だから、親も安心して子どもにプレイさせられるのかもしれない」(石山さん)。小学生を意識して、公式サイトにネチケットの記述を増やした。

課金せずに収益をあげるモデルを

 3月から今まで、スタッフは全員ボランティアで働いている。サーバも有志企業からの無償提供。ユーザーが1万人以上になると、今のサーバでは支えきれなくなるという。サービスを継続するための資金が至急、必要だ。

 基本機能を有料化するつもりはない。課金するとダイナスティアの理念――いつでも時間があるときに、現実世界のしがらみを忘れ、ネットコミュニケーションを純粋に楽しんで欲しい――に反してしまうからだ。

 1カ月いくらという期間での課金すると、たまにしかプレイしないライトユーザーにとってハードルが高くなる。アイテムの購入ごとの課金となると、現実世界で財力がある人ほど楽しめるゲームになってしまう。

 かといって完全無料のままでは、いつか破綻する。収入を得るため、スポンサーを受け入れるシステムは用意した。

 途中からゲームを始めたユーザーがこれまでの歴史が見られる「過去見の部屋」では、過去の映像とともに、提供スポンサーを表示できる。12月10日からはゲーム内にリアルのECサイトが出店できるショッピングモールを作り、34店が出店予定だ(関連記事参照)。キャラクターグッズの販売や、ゲームシステム構築のノウハウ提供といったビジネスも考えている。

yu_seacret_03.jpg ショッピングモール

 しかし、現在のスタッフはクリエイターばかり。経営には明るくない。「ゲームをいいものにする自信はある。ユーザーが増える余地もまだまだある。足りないのはお金だけ」(石山さん)。現在、出資してくれるスポンサーを探しに懸命だ。プロジェクト全体を引き受けてくれるスポンサーを募集中。プログラム作成の請け負い業務も行いたいという。

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