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管理者が想定していないアクセスは不正? ACCS裁判

» 2004年12月14日 17時58分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の個人情報流出事件で、不正アクセス禁止法違反で起訴された元京都大学研究員の第6回公判が12月14日、東京地裁(青柳勤裁判長)で開かれた。新たな証拠として、検察側はWebサイトを、弁護側は書籍を提出した。

 同裁判の争点は、元研究員がCGI経由でサーバ内の個人情報ファイルにアクセスした手法が、不正アクセスにあたるかどうかだ。検察側は、同行為はサーバ管理者が通常利用と想定している利用法とは異なるため、不正アクセスにあたると主張している。

 これに反論する証拠として弁護側は、特許庁の「特許電子図書館」Webサイトと、同サイト上のデータを一括ダウンロード、印刷できるソフトの紹介サイトをプリントアウトして提出した。

 同サイト上の情報は、通常は1ページごとしか印刷できないが、同ソフトを使えば複数ページを一括印刷可能。同サイト管理者が想定した利用方法と、実際の利用方法が異なる例があるとした。

 検察側は、警察庁がまとめた、不正アクセス禁止法に関する逐条解説の書籍を新たな証拠として提出した。

 今回の公判では、検察・弁護双方が法律的な意見書を提出する予定だったが、双方とも準備が間に合わず、次回にまわされた。青柳裁判長は「法的見解の提出は必要不可欠ではないが、こういった事件の場合は聞きたい」とし、同裁判の法的意義を重視する姿勢を示した。

 次回公判は1月24日。法律的な見解をそれぞれが提示した上で、論告弁論を行う。

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