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Red Hat、RHEL 4.0を2月14日発表へ

» 2005年01月19日 10時28分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Red Hatは同社の主力製品であるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のメジャーアップグレードを発表する計画だ。新バージョンでは、Linuxカーネル2.6を初めてフルサポートする。Red Hatの広報担当者は、現時点で発表が、2月にボストンで開催されるLinuxworldに合わせて行われる予定であることを認めた。

 RHEL 4.0は、Red HatのLinux製品にとって、2003年10月にリリースされたバージョン3.0以来の最も重要なアップグレードとなる。

 RHEL 4.0にはバンドルされた各種オープンソースソフトの新バージョンが含まれるが、最も重要な強化点はLinux 2.6カーネルによってもたらされる。カーネルは、最も基本的な機能を実行するOSの中核部分を指している。一番に注目すべきは、ハードディスクのパーティションを管理するソフト「論理ボリュームマネージャ」(LVM)の新バージョンと並んで、PC上のコンポーネント間のデータ転送を管理するLinuxのI/Oサブシステムの改訂版が含まれることだ。

 「おそらく最も大きいのは、仮想メモリシステムがディスクにデータを書き込む処理方法が変更されている点だ」と、RHEL 4.0のβ版コードに詳しいPenguin Computingのエンジニアリングディレクター、フィリップ・ポコルニー氏は言う。I/Oサブシステムの変更により、大量の情報を処理するデータベースなどのアプリケーションをRed Hatサーバで稼働させるときの処理速度が大幅に向上するという。

 同氏はさらに、もう1つの重要な強化点はLVM 2だと語る。LVM 2はよりOSと統合され、RHEL現行バージョンの足かせとなっている、1Tバイトというファイルシステムサイズの制限を取り払う。「LVM 2では、サイズの上限はPバイト(ペタバイト)規模になる」と同氏。

 Red Hatはすでに現行の製品に2.6カーネルの機能を多数取り入れているが、2.6カーネルをフルサポートする今度のRHEL 4.0のリリースは重要なマイルストーンだとミューレンバーグ大学の教育技術者、テリー・コリングス氏は指摘する。「2.6カーネルが見たかった。RHEL 3に2.6カーネルの機能の多くがバックポートされていることは知っている。だがそれでも、カーネルが最新のものだということを知りたいのだ」と、大学で多数のLinuxシステムを管理しているコリングス氏。

 Red Hatは、2.6カーネルのサポートでは他社に後れを取っている。ライバルのNovellは、2004年8月のSUSE LINUX Enterprise Server 9の発表時から2.6カーネルを搭載してきた。

 β版をチェックしたコリングス氏によれば、RHEL 4.0にはまた、デバイスと電源の管理性能向上に加え、米国家安全保障局(NSA)のSecurity Enhanced Linux(SELinux)プロジェクトから生まれたセキュリティ強化が含まれる。

 Red Hatは、2004年の9月からコリングス氏のようなユーザーにβ版を提供してきた。11月8日に現在のβ版をリリースし、12月にはRHEL 4.0の発表までもうβ版はリリースしないとアナウンスした。

 Red Hatの広告代理店によると、RHEL 4.0の発表は2月14日の予定。

 Red Hatはこの発表についてコメントしたがらなかったが、同社広報のリー・デイ氏は、2月14日にイベントを開く計画であることを認めた。

 現在のRHEL登録ユーザーは、RHEL 4.0の発表直後からコードにアクセスできるようになる可能性が高い。「当社は通常、製品発表と同時に製品を提供したいと考えている。これまでも大規模な発表と同時に製品が入手できるようにしてきた」(デイ氏)

 RHEL 4.0の価格は据え置かれる予定だと同氏は付け加えた。

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