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「Appleを理由なく解雇された」と元幹部が提訴

» 2005年03月03日 09時10分 公開
[IDG Japan]
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 米Apple ComputerでMacintoshハードエンジニアリング担当上級副社長を務めていたティム・ブッチャー氏が、理由なく解雇されたとして同社を提訴した。MacCentralが入手した裁判所への提出書面でブッチャー氏は、Appleが日付をさかのぼって自分を解雇したため、解雇前に付与されていたストックオプションの権利も奪われたと訴えている。

 ブッチャー氏の代理人を務める弁護士事務所のHopkins & Carleyは2月初旬、サンタクララ郡の裁判所に損害賠償訴訟を起こした。その数週間前にブッチャー氏は、今回の解雇は「自分に障害があるとの認識」に起因するとして、差別問題で苦情を申し立てている。

 ブッチャー氏は2003年3月、Macintoshシステム開発担当副社長としてApple入りした。同氏はホームユーザーとスモールビジネス向けのバックアップサーバ製品開発企業Mirraの創業者で会長を務める。WebTVの当初のエンジニアリングチーム幹部だったほか、Microsoftのコンシューマー製品担当上級副社長を務めた経歴も持つ。

 Apple在籍中はストックオプションを受け取って定期的な昇給もあり、幹部向けのボーナスプログラムにも入っていたという。昨年5月には、iPodとMacintosh部門の分割に伴い、Macintoshハードエンジニアリング担当の上級副社長に昇格。Mac miniの開発にも携わったという。

 しかし11月になって、解雇されそうな情勢がはっきりしてきた。世界販売/業務担当執行副社長のティム・クック氏と話し合いを持ち、ブッチャー氏の代理人によれば、そのすぐあとで、同氏に「躁鬱の時がある」と周りが思っていると、スティーブ・ジョブズCEOに言われたという。同僚はこれにどう対処していいか分からないとして、「ジョブズ氏はその後、『どうするかはっきりしたことは言えないが、当社を辞めるよう頼まなければならなくなると思う』と言い添えた」と、書面では記している。

 ブッチャー氏によると、通告されたのは昨年11月14日で、ティム・クック氏から、降板しなければ解雇すると言い渡された。1月初旬には、2004年12月31日付の解雇を正式通告する書簡と、最後の給料が送られてきたという。

 しかしこの最後の給料には、12月31日までの四半期分の幹部向け賞与プランに該当する金額が含まれていなかったと訴状では指摘。「Appleは2005年1月1日に付与するはずだったストックオプションも取りやめ、原告による行使も拒んでいる」

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