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» 2005年03月03日 16時40分 UPDATE

GPU以外へと勢力を伸ばすNVIDIA

「自分たちを単なるグラフィックス企業とは思っていない」――NVIDIAのCEOがグラフィックスチップ以外、そしてPC以外の領域に製品ポートフォリオを拡大する戦略を語る。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 米NVIDIAはグラフィックスチップメーカーとして有名だが、同社は今後、コンピュータマザーボードのそのほかの部品の製造に力を入れていく方針という。たとえそれが、ときにはIntelなどの大手との競争を意味するとしてもだ、と同社の社長兼CEO(最高経営責任者)ジェン・スン・ホワン氏は語っている。

 ホワン氏は今週、インドのバンガロールに新設した同社の新しい設計センターを披露するため、同市を訪れた。同氏はそこでIDG News Serviceのインタビューに応え、グラフィックスチップ以外、そしてPC以外の領域に製品ポートフォリオを拡大する戦略について語ってくれた。NVIDIAはIntelの縄張りを目指すことになるが、両社は2004年11月に複数年に及ぶクロスライセンス契約を結んでおり、これによりNVIDIAはIntelプロセッサ向けに自社のnForce技術をベースとしたチップセットを構築できることになっている。

 以下に、インタビューの内容を編集した。

―― あなたは最近、PC市場以外の新規市場で勢いを付けたという意味で、2004年はNVIDIAにとって転換期になるとおっしゃいました。この転換はどの程度、重要な意味を持つことになりそうですか?

ホワン氏 PC市場は依然として、当社ビジネスの約65%を占めています。今後も長きに渡り、当社ビジネスにおいて大きなシェアを占め続けるでしょう。なぜなら、PC業界は大きいからです。各セクターにおける世界の半導体消費量を見れば、PC業界が全体の40〜45%を占めています。ですから、当社のビジネスで非常に大きな比率を占めているのも当然です。そして、新技術を最も迅速に採用するのもPC業界です。また、当社のビジネスモデルは技術におけるリーダーシップと新たな発明を基盤としているため、新技術の採用に積極的なPC業界に新たな技術を投入するということは、当社にとってさらに大きな意味があるのです。

―― 今後もPCを事業戦略の中心に据えると決めていらっしゃるということは、マザーボードに組み込まれるシリコンの供給拡大を目指すということでしょうか?

ホワン氏 当社は現在、GPU(グラフィックス処理ユニット)を製造し、またネットワークやストレージ向けのチップセットも製造しています。さらにPC向けのファイアウォールプロセッサも開発しました。当社のnForce 4チップセットには、セキュリティファイアウォールが組み込まれています(10月21日の記事参照)

 われわれは、コンピューティング体験を変えるような技術に投資しています。われわれがPCに3D技術を組み込めば、ユーザー体験は改良されます。ストレージ技術を高速化したり、冗長性を組み込んだりするのも同じことです。

―― そうした取り組みは、貴社のグラフィックスに対する当初のフォーカスとどのように合致するのですか?

ホワン氏 NVIDIAが最初に開発したのは、グラフィックス、ビデオ、オーディオ、およびデジタル周辺機器が組み込まれた製品です。グラフィックスだけの製品は当社の3番目の製品でした。われわれは決して、自分たちのことを単なるグラフィックス企業とは思っていません。われわれは実際のところ、自分たちのことを「コンピューティング体験を変革する技術を開発する会社」と考えています。

 今では当社の規模も拡大し、各種の分野に手を伸ばせるようになっています。例えば最近では、当社はPC向けのプログラム可能なビデオプロセッサを発表しました。この技術はPureVideoと呼ばれています。われわれが目指しているのは、家電製品と同じレベルのビデオ機能をPCでも提供することです。ですから、われわれはビデオプロセッサ、ネットワークプロセッサ、ストレージプロセッサ、セキュリティプロセッサ、すべての開発を手がけており、それらはすべてコンピューティング体験に関連しているのです。

―― Intelの社長兼最高執行責任者(COO)のポール・オッテリーニ氏によれば、IntelはCPUとそのほかのシリコンをマザーボードに一緒に組み込むプラットフォーム戦略を採用する方針とのことです。市場でのIntelの影響力を考えると、こうした方針はNVIDIAにとって脅威となりますか?

ホワン氏 半導体を開発するすべての企業にとって脅威と言えるでしょう。実際のところ、当社の戦略は非常にシンプルです。われわれは、われわれが価値を付加できる分野にフォーカスしなくてはなりません。「われわれが価値を付加できる」というのは、Intelよりもさらに多くの価値を付加できなければならないという意味で言っています。Intelの影響力が働くのは、ありきたりのPCでかまわないような市場セグメントです。

 例えば、企業向けデスクトップなどがそうです。私の秘書は、オーディオもビデオもグラフィックスも必要としていません。彼女にとってのコンピュータ体験は、われわれが何か価値を付加できるようなものではありません。われわれは、素晴らしいマルチメディア体験を望んでいるユーザーにフォーカスしています。実のところ、私はIntelのプラットフォーム戦略がそうしたユーザーの反響を呼ぶとは思いません。十分な魅力がないからです。

 われわれは皆、自分なりのニッチ市場を見つける必要があります。もしIntelが、世界中のプラットフォームを1種類にまとめられると考えているのであれば、それは、かつて自動車の大量生産に成功した自動車王フォードが車の色は黒でさえあれば十分だと考えたのと同じようなことです。私は、Dellは何とか差別化を図ることになるだろうと考えています。ソニーも、何とか差別化を図ろうとするでしょう。彼らは、特定のユーザーにターゲットを据えたプラットフォームを確立することになるでしょう。

 Intelがしようとしているのは、OEM企業をだしにして、プラットフォームをコモディティ化しようということです。もちろんIntelは、そうしたコモディティプラットフォームを中心に価値を付加するためのチャンスをわれわれや業界に提供し続けるでしょう。ですから、依然としてワークステーションがあり、メディアセンターがあり、マニア向けのPCもあるのです。依然として、あらゆるタイプのPCが存在しています。

―― nForceプログラムについてですが、なぜIntelではなくAMDのプロセッサで始めることにしたのですか?

ホワン氏 われわれがAMDとともにnForceプログラムを開始したのは、当時、Intelとクロスライセンスを結んでいなかったからです。また、われわれはちょうど自社の技術を開発しているところでした。それに、もしAMD市場で成功できないようであれば、Intel市場を目指したところで何の意味もないでしょう。

 われわれは先ごろ、Intelとクロスライセンスを交わしました。われわれは既に4年ほど前からnForceを開発しており、いまやnForceはトップブランドのチップセットになっています。ゲーマーの間で最も人気のチップセットです。こうしてIntelとクロスライセンスを交わし、われわれの技術も発展しましたので、現在はIntelプロセッサ市場向けのチップセットを開発しているところです。われわれは今後も、価値を付加できる市場にフォーカスしていきます。

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