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Kazaaオーナー、疑惑の資産売却

» 2005年03月07日 11時52分 公開
[IDG Japan]
IDG

 P2Pソフト「Kazaa」をめぐる訴訟の審理が終わりに近づく中、同ソフトのオーナー企業の経営陣が、数百万ドルの自宅を売却および譲渡していたことが明らかになった。

 オーストラリアの連邦裁判所は3月4日、Kazaaを保有するSharman Networksのニッキ・ヘミング最高経営責任者(CEO)が、シドニー郊外の高級住宅地キャッスルコーブに所有する資産を2月に210万豪ドル(160万米ドル)で売却したとの申し立てを聞いた。

 原告であるレコード会社側の主席弁護士トニー・バノン氏は、「(Sharman幹部は)不利な裁定が下ることを見越して資産を処分しようとしている」と語った。

 売却された資産は、金融顧問企業Terra Crest Business Solutions(TCBS)の経理担当ジョン・マイヤーズ氏の手に渡ったが、バノン弁護士によると、記載されているTCBSの住所はSharman Networksの親会社LEF Interactiveと同じだという。

 マイヤーズ氏は、審理で証拠として提出された電子メールの中で「Sharmanの会計士」と記されている。

 バノン氏は、自宅売却の性質そのものに疑問を投げかけており、ヘミング氏は今も同じ家に住んでいると指摘した。

 さらにバノン氏は、9月にも同じような資産の譲渡がBrilliant Digital Entertainmentおよび子会社Altnetのマネージングディレクター、ケビン・バーマイスター氏によって行われた事実を明らかにした。バーマイスター氏はシドニーのヴォクリューズにある家に妻と暮らしているが、自分の持分を担保として337万5000豪ドルで妻に譲渡した。

 このほかバノン氏は、Brilliant Digital Entertainmentのシドニーにある物件のリース契約が先月期限切れとなったことにも言及した。

 「これらの出来事は資産処分の危険性をにおわすものだ」とバノン氏。

 レコード業界側は、Sharmanによるこれ以上の資産処分を阻止するべく、「マレヴァ型差止め命令」(裁判所による被告の資産凍結命令)を申請した。

 「特定可能な資産が被告の管理下で処分されている。ほかにどのような資産があるのか示してほしい」(バノン弁護士)

 これに対し、Sharman側のアンソニー・ミーガー主席弁護士は、この問題は3月22日の審理再開に持ち越されるべきだと話している。

 Sharman側は最終の書類提出の準備をしている最中であり、レコード業界側の命令申請はそれから気をそらすための戦術だとミーガー氏は主張している。

 「申請側はこのことを2月17日に認識したのに、われわれに書面で通知したのは28日になってからだ」(ミーガー氏)

 「資産が動かされることを危惧する彼らの不安(のレベルは)この程度だ」

 Sharmanはマレヴァ型差止め命令に従う考えだが、ほかの資産の公表については、著作権侵害訴訟における主な争点と直接関係がないことから拒否するとミーガー氏は話している。

 判事はこの問題を4日午後に持ち越した。

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