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よみがえるWinFS――LonghornではなくXPで

» 2005年03月09日 16時20分 公開
[IDG Japan]
IDG

 WinFSは死んだという噂はかなり誇張されている――MicrosoftのSQL Server製品管理ディレクター、トム・リッツォ氏はこう語り、この次世代ファイル・ストレージシステムが現在Windows XP向けにバックポートされていることを明かした。業界誌が報じている。

 リッツォ氏はMicrosoft Watch誌に対し、Microsoftは9月のProfessional Developers Conference(PDC)でWinFSの最新情報を明らかにする予定だが、さしあたってはWindows XP版のWinFSに取り組んでいると語った。同氏は、Windows Server 2003にもWinFSが移植されるかどうかは明かさなかった。

 WinFSは当初、来年登場予定の次期版Windows「Longhorn」の主要機能の1つとして計画されていた。WinFSはデータを個々のアプリケーションとインタフェースから切り離して、包括的に保存、共有できるようにし、デスクトップ、ネットワーク、Webサービス全体からのデータ検索を可能にすることを目指したもの。ビル・ゲイツ氏は、この技術は10年来の夢をかなえる聖杯だと話していた。

 だが昨年8月に、MicrosoftがLonghornの最初のリリースにWinFSは搭載されないと発表して以来、同技術の今後には疑問が持たれていた。WinFSはLonghorn出荷時にはまだベータ段階で、2007年に出荷予定のサーバ版Longhornには搭載されないとMicrosoftは話していた。WinFSがWindows Serverに搭載されるのは、サーバ版Longhornの最初のアップデートのリリース時になり、同技術が2010年までに登場しない可能性も考えられると、Windows Server責任者ボブ・マグリア氏は12月に語っていた。

 こうした発表を受けて、一部には、MicrosoftはWinFSを捨てることにしたのではとの見方が出ていた。その上同社は詳細な計画を一切明かさなかった。3月4日に報じられたリッツォ氏のコメントは、WinFSにはLonghorn世代のほかの技術と同様の未来が待っている可能性があることを明らかにしている。

 Microsoftは以前から、Longhornのプレゼンテーションシステム「Avalon」と通信サブシステム「Indigo」をWindows XPとWindows Server 2003にバックポートする計画を明らかにしていた。WinFSもこれら2つのコア技術と同様の道をたどるようだ。このことから、一部の人々はWindows XPとLonghornはどう違うのかと疑問を呈している。調査会社Gartnerは、Longhornは次第に一時しのぎのものに見えてきていると話し、企業にはWindows XPを使い続けるよう勧めている。

 Microsoftは、これら中核技術を移植するのは、後方互換性を確保し、開発者の関心を高めるためだとしている。もしもこれら技術が何らかの弾みをもたらすのであれば、同社はこれらをできるだけ広く提供する必要があると、業界観測筋は話している。

 Microsoftによると、Longhornには当初WinFSは含まれないが、同技術のリレーショナルデータベース機能の威力を示すものとして、デスクトップ検索機能が搭載される。

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