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米最高裁、P2P企業の責任追及に懐疑的見方

» 2005年03月30日 08時35分 公開
[IDG Japan]
IDG

 P2Pソフトを提供しているGroksterやMorpheusに対してユーザーの行動の責任を問うエンターテインメント業界の主張を認めれば、技術企業は著作権法違反に利用される可能性のある新製品の発明に及び腰になってしまうかもしれない――。米連邦最高裁の判事が3月29日、このような見方を示した。

 MGM対Grokster訴訟の口頭弁論で、裁判官たちはエンターテインメント業界側の弁護士に対して次々と質問を浴びせ、技術と著作権に関して21年前に確立された基準からそれれば、米国のハイテク業界に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘した。この日最高裁ではハイテク関連の訴訟2件について口頭弁論が開かれており、Grokster訴訟はその1つ。もう1つはインターネットケーブルモデムサービス規制問題に関する審理が行われている。

 音楽/映画業界側の代理人を務めるドナルド・ベリーリ氏は裁判官に対し、GroksterおよびMorpheus提供企業のStreamCast Networksの事業計画は著作権侵害を前提として成り立っており、GroksterとMorpheusソフトで交換されるファイルは大部分が著作権法に違反していると訴えた。1984年に最高裁が下したソニー・ベータマックス判決は、著作権を侵害しない利用が大多数を占める場合、技術企業は二次的な著作権侵害の責任を免れるという内容だったが、毎月P2Pソフトで交換されている26億本のファイルのうち、Grokster側が合法的なファイルとしてカウントできるのはわずかは数十万足らずだと、ベリーリ氏は述べている。

 これに対してスティーブン・ブレイヤー判事は、「P2Pソフトによって『相当の』著作権侵害が可能になっている」というベリーリ氏の主張と、ベータマックス判決とはどう線引きできるのかと疑問を投げかけた。相当の著作権侵害を可能にしている技術を罰する新基準をもし裁判所が認めれば、コピー機やビデオデッキ、グーテンベルグの印刷機も合法でなくなるかもしれないとブレイヤー判事。

 デビッド・スーター判事も同じ論拠から、エンターテインメント業界の言い分ではApple ComputerのiPodが著作権侵害を助長しているとの主張も成り立つ可能性があると指摘した。

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