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「信頼性はWindowsが上」――MSがLinux対抗キャンペーンで新主張

» 2005年04月06日 19時07分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米MicrosoftはWindowsとLinuxの信頼性を取り上げることで、Linux対抗キャンペーン「Get the Facts」を拡大している。Open Source Business Conferenceが開幕した4月5日に同社幹部が明らかにした。

 Get the Factsは、Windowsに有利な形で同OSをLinuxやその他のオープンソースソフトと比較するマーケティングキャンペーン。Microsoftは2003年半ばにこのキャンペーンを立ち上げ、その範囲を次第に拡大していった。今ではTCO(総所有コスト)、セキュリティ、補償が比較材料に含まれており、今回これに信頼性が加わった。

 「信頼性は当社にとってやりがいのある課題だった。これは非常にうるさく言われてきた分野だ」とMicrosoftのプラットフォーム戦略担当ジェネラルマネジャー、マーティン・テイラー氏は語る。「顧客は、『われわれにとって信頼性は非常に重要であり、LinuxとUNIXの方がWindowsよりも信頼性が高いと聞いている』と言っている」

 信頼性の明確な定義やベンチマークがないため、MicrosoftはWindows Server 2003とRed Hat Enterprise Linux(RHEL)3.0 Advanced Serverを比較する調査を依頼した。この調査の一環として、18人のLinuxシステム管理者と18人のWindowsシステム管理者を雇い、中規模企業のIT環境を4日間シミュレートした。

 「この調査はエンドユーザーのアップタイムと、信頼できる環境の構成・維持がどのくらい簡単かに関するものだ」とテイラー氏。

 調査に参加した管理者は意図的に引き起こされたエラーに対処したり、新しいデバイスの設定、バックアップ作成、リモートアクセスの設定などの作業をこなさなくてはならなかった。LinuxとWindowsは3台のHewlett-Packard(HP)ProLiant DL380 G3サーバで実行された。そのうち1台はインフラサーバ、残りはそれぞれ電子メールサーバとファイル・プリントサーバとして利用された。

 「Linux環境の方が、エンドユーザーの生産性損失が約15%大きいことが示された」とテイラー氏。VeriTestの調査によると、4日にわたって行われた26時間のテストの間、RHELシステムでは4時間59分44秒サービスがダウンした。Windowsシステムのダウンタイムは4時間20分19秒だった。

 さらにこの調査では、Windows管理者はLinux管理者よりも所定の作業を多くこなすことができたと示された。またWindowsの方がトラブル対応が容易だったという。Windows管理者が作業に要した時間は、Linux管理者よりも33%少なかったと調査報告書にはある。

 Linux管理者は、統合が不十分であったり、マニュアル、ドライバ、アップデートパッチが不足しているなど、トラブルの原因となる問題に多数遭遇したとテイラー氏。またWindowsはシステムのメモリが不足してきた場合などに警告を出し、管理者が対処できるようにしているが、Linuxシステムはそうではないことからダウンタイムが生じるとも同氏は指摘した。

 しかし、オープンソース支持者のブルース・ペレンス氏は、Windowsの方がLinuxよりも信頼性が高いという意見に異を唱え、コンピュータウイルスという単純な例を挙げている。

 「ウイルスのことを考えるべきだ。私のメールボックスには毎日、Windowsを標的とする30のウイルスが届けられる。これらのウイルスは既に感染してしまったシステムから送られてきたもので、(感染したユーザーの)知り合いすべてにウイルスを送りつけている。Linuxやオープンソースソフトではこれほどの問題は起きていない」(同氏)

 ペレンス氏によると、オープンソースソフトはインターネットへの接続を前提に設計されているため、常に(Windowsよりも)ウイルス攻撃を受けにくい。「Microsoftはまだこれに追いつこうとしているところだ」

 「apples to apples(同じもの同士)」の比較の結果、テイラー氏は、Microsoftの信頼性についての報告に満足していると語った。

 しかし実際には、WindowsとLinuxが同じタイプの作業に使われることはないと、Yankee Groupが4日に公表した調査結果では指摘されている。509人のITユーザーを対象にしたこの調査では、実際のユーザー環境では、Windowsのダウンタイム1時間当たりのコストは、Linuxの3〜4倍になることが示された。

 Windowsのダウンタイムの方がコストが高いのは、同OSがLinuxサーバと比べてより重要な業務に使われているからだとYankee Groupの報告書には記されている。またユーザーは、WindowsとLinuxのセキュリティはほぼ同等であり、Windowsは攻撃からの回復にかかる時間がLinuxサーバよりも30%短いと回答したという。

 さらにYankee Groupによると、LinuxはサーバルームでWindowsに取って代わってはいないが、ほとんどのユーザーはLinuxサーバをWindowsサーバと平行して導入している。

 MicrosoftはVeriTestの調査から得られた信頼性データを新しい広告で利用する予定だとテイラー氏は語った。

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