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国防総省サイトの改ざんから4年、ベネズエラのハッカーが逮捕

» 2005年04月12日 10時12分 公開
[IDG Japan]
IDG

 「RaFa」と呼ばれる有名なベネズエラのハッカーが4月2日、およそ4年前に米国防総省のサーバに侵入したとして逮捕され、起訴された。

 RaFa(ラファエル・ヌネズ−アポンテとも呼ばれる)はマイアミ国際空港で国防総省国防犯罪捜査局(DCIS)の調査官に逮捕された。容疑は、2001年にハッカーグループ「World of Hell」の一員として同省のコンピュータシステムに侵入したというものだ。

 ヌネズ−アポンテ被告は保釈金なしで拘留されており、非公開の政府のコンピュータに不正アクセスした容疑と、保護されたコンピュータに意図的に損害を与えた容疑で公判を受けるため、デンバーへの移送を待っているところだ。それぞれの容疑で起訴され、有罪判決を受けた場合、同被告は11年の懲役を科される可能性があると、デンバー検察局の広報官ジェフ・ドルシュナー氏は述べている。

 被告はこの数年、悪意あるハッキングから足を洗って生まれ変わったと主張し、メディアの取材に進んで対応、IDG News Serviceの記事も含めた多数の報道記事で、ハッキング事件やコンピュータセキュリティ脆弱性の専門家として登場していた。容疑者とともにオンライン児童ポルノの追跡グループを立ち上げた元ハッカーのセス・パック氏を含む友人や家族は、被告は心を入れ替え、前向きな変化に向かっていたと話している。

 ヌネズ−アポンテ被告は、2001年6月に国防総省国防情報システム局(DISA)に属するコンピュータにWeb改ざん攻撃を行った人物と考えられている。コロラド連邦地裁に提出された起訴状の写しによると、この攻撃で、被告はDISAのコンピュータにアクセスして、同局のWebページを「WoHが戻ってきた……おまえらのページはおれのものだ。おれの(ひわいな言葉)にキスをしろ」と書き換えたという。

 また同被告は、DISAのコンピュータからログ情報を削除し、同局の一部システムに空軍職員がアクセスできないようにしたと起訴状には記されている。同被告がこの犯罪に関与した容疑での刑事告発は2003年に行われ、これが先週の逮捕につながったとドルシュナー氏。

 同氏は、当局がどのようにして被告が来米することをつかんだのかについてはコメントを控えたが、パック氏によると、被告はこの数カ月以内にニューヨーク市に旅行するなど、以前にも米国を訪れている。

 被告はベネズエラのカラカスに住み、同国の地域ISP(インターネットサービスプロバイダー)のCANTVに勤めていた。CANTVは米Verizon Communicationsから一部出資を受けている。

 インスタントメッセージによる取材に対し、被告の弟ホアン・ビンセント・ヌネズ氏は、被告は自身の専門分野においては倫理的な専門家であり、家族は起訴と戦うために道徳的、金銭的支援を求めていると語った。

 被告は逮捕される前、捜査当局が利用できる小児性愛者や児童ポルノの情報データベースを作成するComputer Pedophilia Investigation Unit(CPIU)などの社会貢献活動を通じて、過去の犯罪行為を償おうとしていたとパック氏は話す。

 被告の公判日はまだ決まっていないが、コロラドへの移送後に手続きが進められるとドルシュナー氏は説明している。

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