Frontline RoboticsとWhite Box Roboticsが5月10日、RoboBusinessカンファレンスで合併を発表した。同カンファレンスはロボット工学の業務利用に焦点を当てたもので、米マサチューセッツ州ケンブリッジで開催されている。
Frontline Roboticsの主力製品は、共同作業が可能なセキュリティロボットのチーム向けに使うOS「Robot Open Control(ROC)」だ。このOSを搭載したこぶし大の金属の箱が、White Roboticsの10 PC-botシリーズの最新の「車輪付きサーバ」で使われている。新しいWhite Box 914 PC-botは標準的なPCで動いており、購入者がシステムの構築に使われるプロセッサ、HDDなどのPCパーツを選択する。
「合併によりもたらされる力を、われわれはまず、セキュリティアプリケーションで活用する」とFrontline RoboticsのCEO(最高経営責任者)リチャード・レパック氏は合併発表の際に語った。
これら2社とその製品は、ロボット業界の今のトレンドの典型例だ。RoboBusinessカンファレンスの会場は、ロボットや無人車と連係する兵士、警備員が登場するディスプレイやビデオが中心となっていた。
「空港、原子力発電所、パイプラインなどの大型の高警戒施設は、ロボットが監視システムに欠かせない部分になり得る例だ」(レパック氏)
先月、同氏とFrontlineの技術者らは、ROCシステムを使った完全自律型ロボット同士の共同作業のデモを行った。「2台のモバイルロボットがそれぞれ反対の方向から狭い通路に入ったとき、1台が道を空けてもう1台が通れるようにした」という。
2社は2004年12月から協力してきた。共同開発による最初の製品はWhite Box Roboticsの9シリーズに似たロボットで、10日に披露された。
White Box Roboticsのトーマス・ブリックCEOは、「10 PC-botは、当社のこれまでのロボットと同じ基本原則に則っている」と語った。
10 PC-botのほとんどは、モバイルプラットフォームに搭載された既製のPCパーツでできている。しかし、9シリーズが主にCD、DVD、MP3再生機能とカメラを備えたエンターテインメントデバイスとして販売されたのに対し、10シリーズはセキュリティや防衛などのハイエンド分野をターゲットにしている。
「銀行や倉庫で使われるかもしれない」とレパック氏と語り、次のような例を挙げた。「誰かがドアから侵入しようとしているような様子が見られた場合に、テレプレゼンス(遠隔からの画像送信)機能を持つ10シリーズのロボットが現場に行って調べることができる。画像は警備員に送られ、侵入者の阻止、さらに侵入者の身元確認まで行われるかもしれない」
このほか、USBポートから9および10シリーズの小型マザーボードに搭載できる機能として、顔認識、音声合成、赤外線センサー、動作感知、放射線・ガス・化学物質センサーなどが考えられる。
「電子機器の店に行くと、われわれのロボットに合うガジェットを両手いっぱいに買わずにはいられない。PCマニアはPCの将来に大きな影響を及ぼした。ロボット工学でも同じことが起きるだろう。ロボット工学ではたいてい急ペースで進んでいるが、この製品はインタフェースとしてWindowsにつなぐものだ」(ブリック氏)
9シリーズと10シリーズはいずれもWindowsで動作するが、同OSなしで提供される。9シリーズのプラットフォームはおよそ1万ドル。10シリーズはまだ生産に入っていないが、間もなく受注を開始し、18カ月以内に提供するとレパック氏は話した。
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