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どうする? SCO(1/2 ページ)

» 2005年07月21日 17時16分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

OPINION:最近公表されたメモによると、SCOによるLinuxの知的財産に関する主張の根拠となる“何か”は存在しないようだ。となれば、Red Hatによる訴訟でSCOが勝つのは難しそうだ。

 つい最近まで筆者は、Linuxに関するSCOの権利の主張には1つも根拠がないなどと考えたことはなかった。

 筆者は基本的に、IBMが自社のUNIX OSであるAIXを通じてUNIXのコードをLinuxに提供したとするSCOの主張は通らないと考えている。また、SCOがこの訴訟で勝つ見込みはないとも考えている。

 しかし、SCOがその主張の根拠となる何かをどこかに持っているに違いないとは思っていた。――どうやらこれは、わたしの思い違いだったようだ。

 先ごろ公表されたLinuxとUNIXに関するSCOの社内メモは、LinuxにUNIXのコードが含まれていないのをSCOが知っていたことを示唆しているようだ。

 確かに、最近公開されたスワーツ氏の1999年のメモには、「Linuxの多くの部分は、UNIXのソースコードを参考にして書かれたのは明らかだ」と記されている。しかしx86向けUNIXの開発者であるロバート・スワーツ氏は、「一部のコードはUCB(カリフォルニア大学バークレー校)あるいはその他のサードパーティーのUNIXに由来する可能性がある。これらのコードは、BSDI(Berkeley Software Design Inc.)とUCBの和解に基づいて使用が許可されている可能性もある」とも述べている。

 3年後の2002年、SCOの開発者マイケル・デビッドソン氏が、1999年の調査結果を検証した。同氏の結論は次の通りだ。「実際、UNIXとLinuxの間には共通のコードが多数存在する(例えばX Window Systemなど)が、これらの共通コードはいずれも当社(SCO)とLinuxコミュニティーの両方がサードパーティーから(正規に)取得したものであることが分かった」

 ちなみに、デビッドソン氏はSCOの一介の開発者だったわけではない。同氏は、LinuxバイナリをSCO UNIXおよびSunのIntel版Solaris上で動作させる「lxrun」という人気プログラムの開発者でもあった。つまり、LinuxとUNIXに深く精通しているプログラマーなのである。

 SCOは当初、特定のファイルがUNIXからLinuxに流用されたという主張も行っていた。2003年8月18日、SCOのダール・マクブライドCEOは、スライドを使ったプレゼンテーションの中で、SVR4からそのままLinuxにコピーしたとされる例を示した。

 マクブライド氏は間違っていた。1つの例はBSD UNIXに由来するもので、もう1つの断片的コードはパブリックドメインに属するものだった。

 強硬姿勢を崩さないSCOは2003年12月22日、SCOが著作権を有する数十のABI(Application Binary Interface)ファイルがLinuxに不正流用されたと主張した書簡を多数の企業に送付した。

 しかし、オープンソースの指導者らが指摘したように、これらのコードが似通って見えるのには、それなりの理由があるのだ。

 Open Source Initiative(OSI)の共同創業者であるエリック・レイモンド氏は、「これらのファイルには実行用コードが1つも含まれていない。その大部分は、POSIXなどの技術規格で規定されているマクロや宣言だ」と述べている。

 模倣かどうかを判断するのに高度な科学技術の知識はいらない。コンピュータサイエンスの知識もいらないくらいだ。

 2つのページを見比べると同じなのだろうか。あるいは、少なくとも、同じアイデアが異なるコードに流用されたことが明らかなのだろうか。SCOはこれまで、明らかに盗用されたと分かるコードを1行たりとも示していない。

Red Hatからの厄介な申し立て

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