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Yahoo!、米カリフォルニア大学向けの研究施設を開設

» 2005年10月13日 16時09分 公開
[Ben Charny,eWEEK]
eWEEK

 米Yahoo!はカリフォルニア大学バークリー校の教授や大学院生、学部生らとの共同研究のために、カリフォルニア州バークリーの数マイル北部に新たな研究施設を開設した。

 この研究施設にはコンピュータ科学科の約30人の大学院生と教授が所属し、全員がデジタル時代の社会的側面について、Yahoo!の4億人の利用者を基に研究を行う。

 Yahoo!幹部によれば、大学院生の大半はそれぞれ自身の研究を行うことになるが、一部では、Yahoo!に特化したプロジェクトや同大学とYahoo!との共同研究も進められることになる。それ以上の詳細は明らかにされなかった。

 これは、Yahoo!にとって大学との初めてのコラボレーションとなる。同社のデータ担当最高責任者ウサマ・ファヤド氏は、向こう数カ月あるいは数年の間に、さらに幾つかの大学と提携することになるかもしれないと語っている。

 このプロジェクトを統括するバークリー校コンピュータ科学科のマーク・デービス教授によれば、概して研究はインターネット検索と携帯性にフォーカスしたものになる。「今はちょうど、人々がPCよりも携帯電話を使ってデジタル情報にアクセスするようになる過渡期にある」と同氏。

 私企業と大学とのこれまでの提携では、知的所有権をめぐる厳しすぎる規則のため、常に緊張状態を強いられてきた。知的所有権の観点から、大学院生が行っている研究の公開が許されないからだ。だが、研究中のプロジェクトについて同分野の専門家たちの意見を求めることは、学問研究の世界においては、研究のレベルを高めるために日常的に行われている。

 Yahoo!の知的所有権担当副社長ジョー・シイノ氏によれば、今回のバークリー校との提携においてはそうした問題は回避されており、教授や大学院生は自分たちの研究について従来どおり、自由に公開できる。

 地理的な点に関して言えば、今回の提携はシリコンバレーがサンノゼからさらに約50マイルほど北まで広がったことを示している。バークリー校や格式あるカリフォルニア大学はこれまで、大学との共同研究を単に競争上の都合から利用しようとするシリコンバレーの企業各社に飲み込まれることなく何とかやってきた。だが何しろ、バークリーにはあまりハイテク企業がない。少なくとも、バークリーにオフィスや研究施設を構える本当の大手企業はない。

 だが、すぐに慣れるだろう。Yahoo!は少なくとも1年間のサポートを約束しており、同社の同大学とのつながりを考えれば(Yahoo!の上層幹部のなかには同大学の卒業生が何人かいる)、この施設には持続力があると言えるだろう。

 10月11日にこの研究施設の一般公開に参加した、バークリー市のある職員によれば、同市はさらに新たなハイテク企業がYahoo!の動きに続くことを期待しているという。

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