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MSも書籍検索、「MSN Book Search」開始へ

» 2005年10月26日 14時18分 公開
[IDG Japan]
IDG

 MicrosoftのMSN部門は、書籍などの印刷物を電子化して、検索インデックス化する計画だ。また同社はこの戦略を支援してくれる業界団体に加盟する。同社が10月25日に明らかにした。

 折しもライバルのGoogleは、書籍をデジタル化して検索可能にする独自プロジェクトをめぐり、出版社や作家からの訴訟に巻き込まれている(10月20日の記事参照)

 MSNは25日、「MSN Book Search」を発表した。このサービスは2006年前半までに著作権のない書籍を検索できるようにすると、MSNの検索コンテンツ獲得担当ジェネラルマネジャー、ダニエル・ティーディット氏は語った。1923年以前に出版された書籍は米国では著作権の対象にならないという。

 また同氏によると、MSNは来年、おそらくは後半に著作権付き書籍を検索インデックスに加えるために、図書館および出版社と話し合っている。

 Microsoftはまた、Open Content Alliance(OCA)に参加する計画も発表した。OCAは、著作権を尊重し、どの営利企業にも印刷された知的財産を所有させないデジタル出版物アーカイブを構築している企業団体。同団体にはAdobe Systems、Hewlett-Packard(HP)、Yahoo!などが参加している。

 OCAは、MicrosoftがMSN Book Searchを通じて提供する出版物をスキャンしてデジタル化する予定だという。

 現時点でMicrosoftには、著作権のない印刷物の検索に料金を課す計画はない。しかし、ユーザーが検索で見つけた情報を共有するコラボレーションサービスなど、検索を中心とした有料の付加価値サービスを導入するかもしれないとティーディット氏。

 「例えば、ユーザーが書籍のあるページを見ているときに、われわれはMSN MessengerやHotmailを通じてコミュニティー資産を活用し、ユーザーがオンラインでページや書籍について話せるようにできる」(同氏)

 Microsoftは著作権付き書籍に関してはビジネスモデルを立てる計画だが、現時点ではこうした書籍の検索を有料にするか無料にするかは分からないという。著作権付き素材の検索を無料で提供できるほど、十分な数の広告主が関心を持ってくれるかどうか次第だという。広告主が十分に集まるかどうか、疑問だとティーディット氏は話した。

 「わたし個人としては、(広告は)それを唯一のビジネスモデルできるほど有効ではないと思う。書籍検索をバリューチェーンのすべての関係者にとって価値あるものにするために、ほかのビジネスモデルを模索する必要があるだろう」(同氏)

 Googleは昨年12月に「Google Print Library Project」を立ち上げた。このプロジェクトは、ミシガン大学、ハーバード大学、スタンフォード大学、ニューヨーク公立図書館、オクスフォード大学の蔵書の一部あるいは全部をスキャンして、Googleで検索できるようにするというものだ。

 これまでのところ、Googleはこのプロジェクトをめぐり2件の訴訟を起こされている。1つは米出版者協会(AAP)、もう1つは作家団体のAuthors Guildと3人の作家によるものだ。その原因は、同社が出版者から許可を得ずに、著作権付き作品を検索できるようにしようとしていることにある。

 Googleは8月に、出版者がどの書籍をスキャンしてほしくないかをGoogleに通知する機会を与えるため、11月1日まで一時的に著作権付き蔵書のスキャンを中止した(8月13日の記事参照)

 Googleは「Google Print Publisher Program」も進めており、このプロジェクトでは著作権付き書籍を検索可能にするための契約を出版者と結んでいる。

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