ソニー・NEC連合、次世代DVDへの影響は?
ソニーとNECは11月17日、光ディスクドライブ事業の統合で合意した(11月17日の記事参照)。次世代DVDをめぐって対立する2陣営のメンバーが協力することになる。
2006年4月から、両社はソニー主導の下で光学ストレージコンポーネント事業を統合する。ソニーは合弁会社の株式の55%を持ち、社長を任命する。ソニーはドライブメーカーへの光ピックアップの供給を続け、NECは各種コントローラやチップを担当する。
NECは東芝と共同で開発・推進するHD DVDフォーマットを支持しているが、ソニーはほぼ確実にNECの開発をBlu-rayフォーマットにシフトさせるだろうとアナリストは語る。しかしあるアナリストは、もしも正式統合までに製品が出荷されたら、この会社は結局両方のフォーマットに対応したドライブを売ることになるかもしれないと話している。
両社の合弁会社は世界市場で約20%のシェアを持つことになるとNECは語る。これは、日立とLG Electronicsの合弁Hitachi-LG Data Storageに次いで世界2位だ。Hitachi-LG Data Storageは28%のシェアを持つと、Reutersは日立の広報担当者の発言として伝えている。
ソニーはドライブで使われる光学コンポーネントの製造を続けるため、同社は今後もBlu-ray技術をコントロールするはずだ。この技術は次世代青色レーザーと専用の読み込み・書き込みコンポーネントを使って、ディスクのフォーマットによって23G~54Gバイトの容量を実現する。今回の提携を発表するプレスリリースでは、合弁会社が次世代製品を製造するかどうかは明記されていなかったとIn-Statのアナリスト、ミッシェル・エイブラハム氏は指摘する。
NEC米国法人の広報部からコメントは得られていない。だがソニーの担当者は、今可能性のある計画はどれも「憶測」だとしながらも、合弁会社がHD DVDドライブを製造する可能性を残した。
「この合弁会社は共同製造事業の立ち上げに関連したものだ」とSony Electronicsのコミュニケーション担当上級副社長リック・クランシー氏は語った。「さまざまな顧客の要望に基づく、さまざまなディスクドライブへの要望が存在すると考えられる」と同氏は語り、そうしたドライブにはCDドライブ、DVDドライブ、Blu-ray、そして「おそらくもう1つのフォーマットも」含まれるだろうと述べた。
「(HD DVDを)製造するかもしれないが、それでもBlu-rayへのコミットメントは変わらない」(同氏)
「光ディスクドライブ開発には、多くの商品に搭載される基幹部品として、従来よりリソースを戦略的に投入して参りました」とソニーのエレクトロニクス部門社長兼CEO(最高経営責任者)中鉢良治氏は発表文で述べている。「DVDドライブを中心に優れた技術力を備えるNECと組むことにより、製品構成および品質の両面において世界レベルで製品力強化につながるものと確信しています」
ソニーも東芝も必死で家電メーカー、PCメーカー、メディア企業を自陣に引き入れようとしており、市場を支配するに至るだけのクリティカルマスに達したいと考えている。両社とも自陣に業界大手を取り込んでいる。東芝陣営にはMicrosoftとIntelが加わり、複数のデバイスでの録画と再生をサポートしているという理由からHD DVDを非排他的にサポートすると約束している。
一方DellとHewlett-Packard(HP)は、(HD DVD)より強力だとされているBlu-rayのデジタル権利管理(DRM)技術を支持してきた。この技術はMGMやWarner Bros.などをソニー陣営に引き入れる要因となった。しかしHPはソニーに対し、ユーザーが購入した映画のバックアップを取れるようにする「Managed Copy」と、次世代コンテンツにインタラクティブ機能を加える「iHD」をBlu-rayの仕様に盛り込むよう求めた。これらの技術がまだ盛り込まれていないことから、HPは15日の談話の中で、HD DVDの支持を検討すると表明した(11月17日の記事参照)。
NECは公式にHD DVDを支持してきたが、東芝の広報担当者は、ソニー主導の合弁会社に光学ドライブ事業を移行するという決定によって、NECのHD DVDに対するスタンスが変わったわけではないと述べた。
「NECは東芝に、HD DVDのサポートを続けること、次世代DVDフォーマットに対するスタンスは変わらないことを伝えた」と東芝は声明文の中で述べている。「今回の発表がHD DVDの標準化や市場への浸透に影響するとは思わない」
アナリストは、合弁会社によってソニーはさらに市場での影響力を増すだろうが、東芝、そしてHD DVDとの戦いにはほとんど影響ないだろうと指摘する。
「今回の件が今後のDVD事業に関わるとは思わない。現行のDVDドライブ事業はもっと競争が激しくなるだろうが」とIDCの光学ストレージアナリスト、ウォルフガング・シュリッヒティング氏は語る。「新世代のドライブは、これまでの技術を使ったドライブよりも開発に時間がかかる」
Hitachi-LG Data Storageや、2003年に設立された東芝とSamsungの合弁光学事業など、ほかにも多数の市場リーダーが市場シェアのために提携を結んできたとシュリッヒティング氏は付け加えた。
ソニーとNECは既に次世代技術の開発に多大な投資をしているため、どちらもそれぞれの製品計画を進めるだろうと同氏は語る。そのため、ソニー主導の会社がHD DVDドライブを出荷するというあり得そうにないシナリオが現実になる可能性もあるという。
「短期的にはそうなっても驚かないが、長期的に見るとちょっと事情は違ってくる。ソニーはBlu-rayに力を入れている。これは同社全体の戦略だ。NECは利益を生む次の製品を探していた」(同氏)
NECもソニーもPC向けドライブを製造する計画だが、東芝と三洋電機は家電市場をターゲットにしているとIn-Statのエイブラハム氏は語っている。
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