電子情報技術産業協会(JEITA)が12月22日まとめた2005年の電子工業国内生産は、前年比2.6%減と3年ぶりにマイナス成長になった。前年後半からの在庫調整が年央まで長引いたことが響いた。だが年後半からデジタル家電を中心に再び拡大基調をたどっており、景気回復も追い風に2006年は2.3%のプラスに転じる見込みだ。
同日会見したJEITAの岡村正会長(東芝会長)は「2006年は冬季五輪とサッカーのワールドカップが開催される上、地上デジタル放送のエリア拡大でデジタル家電が一気に普及するだろう」と来年の見通しを話した。
2005年見込みと2006年見通しは以下の通り。(単位:億円、カッコ内は前年比%)
2005年 | 2006年 | |
---|---|---|
民生用電子機器 | 25,452(+2.3) | 26,083(+2.5) |
産業用電子機器 | 72,503(-3.1) | 73,977(+2.0) |
電子部品・デバイス | 91,668(-6.2) | 93,831(+2.4) |
合計 | 189,623(-4.0) | 193,891(+2.3) |
2005年の総額は18兆9623億円となり、2002年以来のマイナス成長にとどまる見込み。前年夏のアテネ五輪をきっかけにデジタル家電景気にわいたが、一方で増産で在庫が積み上がるという負の側面も。長引く在庫調整は今年に入っても大きく影響し、結果的に前年比マイナスとなった。
民生機器では薄型テレビとカーナビを中心に拡大。産業機器ではPCが台数ベースで伸びたものの、価格下落から金額では伸び悩み、携帯電話も新規需要の頭打ちと在庫調整からマイナスとなった。電子部品・デバイスもデジタル家電や携帯電話の調整の影響を受け、前年割れだった。
ただ、今年後半からデジタル家電市場が再び活況を見せている上、個人消費の回復と企業の設備投資の活発化などもあり、2006年は19兆3891億円と2.3%のプラスに転じると予想した。
民生機器では、薄型テレビとカーナビが引き続き2けた成長を見込むが、市場が成熟したDVDビデオとデジカメが伸び悩むとの予想。ポータブルオーディオでは、デジタル型で生産の海外シフトが進む上、MDなど従来型が減少するため、前年比57.6%減の810億円を見込む。民生全体では2.5%の微増にとどまる見通しだ。
産業機器は2.0%増を予想。ナンバーポータビリティの導入などから携帯電話が7.0%増の1兆7180億円に伸びると見込んだ。PCは企業の投資拡大で台数ベースでは増加の予測だが、価格下落や海外シフトから前年比0.1%増の1兆1336億円と前年並み予想だ。
電子部品・デバイスは2.4%増を予測。在庫調整がほぼ終了した上、デジタル家電の海外市場での拡大も本格化すると見込んでいる。
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