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WWWの父が語るブラウザのビジョン(1/3 ページ)

» 2005年12月28日 14時31分 公開
[eWEEK]
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 ティム・バーナーズ−リー氏は1989年にWorld Wide Web(WWW)を、1990年に初のWebクライアントを発明して、急速に進化する今日のインターネットの世界で続く技術革命のきっかけを作った。

 発明家であり自称「ユーザーインタフェースエンジニア」の同氏は、World Wide Web Consortium(W3C)ディレクター、そしてマサチューセッツ工科大(MIT)コンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)の上級研究者としての立場から、Webや関連技術の開発指導を続けている。

 現在、同氏の仕事の大半は、もっと抽象的でデータ志向のオンライン通信ネットワーク――同氏が言うところの「セマンティックWeb」――のコンセプトを中心にしている。

 バーナーズ−リー氏は最近、Webブラウジング技術の現状、自身の将来のビジョンを実現するためのソフトの改良計画についてeWEEKのシニアライター、マット・ハインズに語った。

―― 1990年に初のWebクライアントを立ち上げて以来、ブラウザソフト分野はさまざまに進化してきました。現在に至るまでのさまざまなブラウザの発展の中で、驚いたものはありますか?

バーナーズ−リー わたしがブラウザを書いた当時、人々はWYSIWYGエディターで文書を作成していました。ですから、彼らがコンテンツの作成に使うのは、WYSIWYG型のツールだろうと決めてかかっていました。

 だからわたしはそれをエディターにしたんです。WYSIWYGエディターがないプラットフォームで、人々がわざわざタグを学んでHTMLを書く覚悟をしていたことには本当に驚きました。

 今でもたくさんの人がHTMLを書いています。わたしの中のユーザーインタフェースエンジニアは、彼らがそんなひどいインタフェースに我慢していたことにがく然としました。

―― では、物事はほとんど初めからあなたの予想とは違う方向に動いていたということですね?

バーナーズ−リー わたしが最初のブラウザを開発する際に目指していたのは、ブラウザをクリエイティブなツールにすること、Webを「ユーザーが情報を提供、共有し、ともに共通のハイパーテキストWebを構築するクリエイティブな空間」にすることでした。

 その後の展開はこうです。ブラウザはより洗練され、エディターは今のWebページの力をフルに引き出せないか、あるいは単純化されました。HTMLが複雑化しても、それでも使いやすいエディターはありませんでした。

 わたしたちは2005年にあって、誰でも編集できるブログとWikiの大流行を目の当たりにしています。ある意味、「誰だって編集はできる」「人々はクリエイティブになりたがっていて、読むだけでなく書く力を持ちたいと思っている」というわたしの当初の考えは認められたことになります。

―― よりクリエイティブな編集ツールが加わったことで、わたしたちはWebのもっとインタラクティブな要素を目にするようになり、それが今後のブラウザ開発に影響すると感じているのですね?

バーナーズ−リー ブログもWikiもまだ次善のものだと感じています。使いやすさの点でしかるべきレベルに達していません。テキストのマークアップがそこまで簡単ではないのです。実際、ブログやWiki向けのWYSIWYGエディターがあってはいけないという理由はありません。これまでわたしたちが見落としていたのは、Webサイトをごちゃごちゃにすることのない安全な環境にブラウザを置く必要があるということです。

 ブログソフトはユーザーを拘束するため、ユーザーはある程度の執筆と編集ができるだけで、書式を崩せないようになっています。ユーザーインタフェースデバイスについて言えば、わたしたちにはまだやるべきことがあると思います。

オープンソースの重要性

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