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So-net「Web2.0サロン」の狙い

» 2006年02月03日 16時41分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)がこのほど開設したサイト「Web2.0サロン」(web.two.o.salon)は、同社のコンテンツビジネス強化策の一環だ。同サイトを中心に新たなユーザーコミュニティーを形成し、コンテンツの購買層をがっちりつかむ狙い。各種APIも公開してユーザーとの距離を縮め、サービスのすそ野も広げていく。

 同社は昨年12月に東証マザーズに上場を果たした(関連記事参照)。上場を機に、接続ビジネスだけに頼らない体制を築くため、ポータルとコンテンツビジネスの再構築を決めた。昨年11月に、So-netトップページ(ポータル)担当部門と、PostPetなどキャラクター関連部門、EC部門、韓国ドラマなど動画コンテンツ部門を「ポータル事業部門」として統合。新体制でポータル事業に乗り出した。

 新ポータル事業の核にすえたのが「Web2.0」だ。同社が言うWeb2.0的ポータルは、誰に対しても同じ情報を発信する従来型のポータルではなく、ユーザーに適した情報だけを、適切なタイミングで提供できるサービス。キーとなるのは人と人とのつながりという。

 公開を予定しているSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)がその好例になるという。数百万人が集まるmixiのような巨大SNSではなく、同じ趣味を持つリアルな友人が、せいぜい100人程度集まっているような、小さなSNSを作るのが同社の狙いだ。

 「コミュニティーの中にコンテンツを埋め込みたい」と、同社ポータル事業部門編成局の土屋夏彦局長は意図を説明する。同じ趣味を持つ人同士のコミュニティーを構築し、その中に同社コンテンツを投入することで、ユーザーが求めている情報や商品をタイムリーに提供し、売り上げを伸ばしていくのがねらいだ。

 例えば、車好きの人が集まるSNSを構築して車情報を提供し、車関連のコンテンツも販売すれば、マスに向けて販売するよりも効率が上がるはず――という考えだ。

 Web2.0サロンでは、SNSに限らず、人と人とのつながりに関わるコンテンツサービスを展開していく。ブログ関連サービスもその1つで、このほどバーチャルペット「リヴリー」を育てながら他のユーザーとコミュニケーションできるブログモジュールを公開した。PostPetのブログモジュールも提供する予定だ。

 サービスのAPI公開も進め、開発者ブログも開設してユーザーとの交流を深めていく。「企業とユーザーの関係が対等になってきた」と同社の竹内彰一リサーチオフィサーは話し、ユーザーと一緒に作っていくことで、サービスの幅を広げていく考えだ。

photo ブログで話題のキーワードをマップ化する「Blog Keyword Visualizer」も、ユーザーの声を参考にして改良していく。「ブログ記事を俯瞰でき、普通に検索しただけでは思いつかないようなキーワードを見付けられる」(竹内リサーチオフィサー)という

 将来は、同社のポータルサイトも、それぞれのユーザーに合ったコンテンツを提供するパーソナライズ機能を持たせる考え。個人によりフォーカスしたサービスを構築していく。

photo 土屋局長(左)と竹内リサーチオフィサー

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