ITmedia NEWS > 速報 >

「Wikipediaはブリタニカ並みに正確」記事に反論

» 2006年03月24日 15時31分 公開
[ITmedia]

 「Wikipediaの精度はブリタニカ百科事典にも引けを取らない」とするNature誌の記事は間違っていると、Encyclopedia Britannicaが異議を唱えた。

 この記事は「Internet encyclopaedias go head to head(ネット百科事典が互角の勝負)」というタイトルで、昨年12月にオンライン版Nature誌に掲載された。同誌はWikipediaとBritannicaの科学分野のさまざまな項目を並べて比較し、両者の精度にはあまり差がないという結論を下した。

 Britannicaは今週発行した反論書の中で、「精度の基準から記事の見出しと内容の食い違いに至るまで、Nature誌の調査のほとんどが間違っており、誤解を招く」と主張している。

 Nature誌に問題の記事が掲載された後、Britannicaの科学担当編集者は外部の専門家の支援を得て、不正確と指摘された項目の検証を行った。その際に、同誌に検証のためにオリジナルのデータを提供するよう求めたが、拒否されたという。

 省略版のデータで検証したところ、Nature誌の調査が妥当でないことが分かったとBritannicaは述べている。同誌の調査で不正確とされたブリタニカ百科事典の項目はいずれも不正確ではなく、調査項目の中には同事典に存在すらしていないものもあったと主張している。

 例えば、Nature誌が調査した項目のうち「Dolly the Sheep(クローン羊のドリー)」「Steven Wolfram(スティーブン・ウォルフラム)」はブリタニカ百科事典ではなく、「Britannica Book of the Year」から抜き出したものだったという。Yearbookでは執筆者が百科事典よりも自由に個人的な意見を表現することが認められており、Nature誌のレビュアーはウォルフラムの項目の2つの文章で、こうした意見に反対して「不正確」と評価したとBritannicaは説明している。

 また、Nature誌のあるレビュアーは、「lipid(脂質)」に関する6000語の説明のうち、350語の導入部分しか受け取っていなかったとも同社は指摘している。複数の項目のテキストを抜き出して合わせたものがレビュアーに送られたケースもあるという。このほかにも同社は、Nature誌が調査した項目についての詳細な検証結果を反論書で説明している。

 同社は反論書の中で、読者に百科事典の品質を改めて保証するとともに、Nature誌に問題の記事の撤回を求めている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.