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Winny金子氏が開発に参加・P2P配信技術「SkeedCast」

» 2006年04月18日 16時01分 公開
[ITmedia]

 ドリームボートは4月18日、P2Pファイル交換ソフト「Winny」を開発した金子勇氏が開発に関わったというコンテンツ配信システム「SkeedCast」を5月から試験運用すると発表した。P2P技術を応用し、低コストかつ安全に大容量コンテンツを配信できるという。

 インフラにはインターネットイニシアティブ(IIJ)が協力し、デジタルスケープがクリエイター発掘サイトにシステムを採用する。IIJとデジタルスケープはドリームボートに出資した。

 SkeedCastは、コンテンツホルダーがアップロードした動画コンテンツを複数のサーバに分割して保存し、ユーザーのリクエストに応じて配信する仕組み。専門知識やインフラ不要で手軽に動画配信でき、コピー・再生回数の制限や課金も行える。

 Winnyと異なり、P2Pネットワークはサーバサイドでのみ構成し、コンテンツホルダーやユーザーはP2Pネットワークに参加しない。P2P技術をサーバ間通信に導入することで、大容量コンテンツでも高額なインフラを必要とせず、高速・低コストで配信できるようにした。

 ネットワークには管理用の「コントロールサーバ」を設け、流通経路と流通コンテンツの監視を行う。さらにコンテンツの「流入」と「流通」「取得」を物理的に分離し、意図しない流出や悪意のある混入を完全に防止できるといい、同技術で特許を出願した(出願番号2005-276239)。コンテンツにWindows Media DRMも付加することも可能だ。

 利用料金は、月額5万円前後から。「従来の動画コンテンツ配信コストの約20分の1で済む」(同社)としている。

 金子氏は、コンテンツの分散保存・配信するシステムや、ネットワーク面の開発を担当した。同社は金子氏について「著作権保護によって本当に機能するファイル交換ソフトの未来を切望している技術者であり、この理想がSkeedCastに集約されている」としている。

 5月中に試験運用を開始し、8月に本サービスに移行する。まずは動画ファイル配信サービスとして展開し、順次音声ファイルなどに広げるほか、デジタル家電や携帯電話でも利用できるようにする。グループウェアへの応用など、ビジネス利用への拡大も期待している。

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