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「恋愛とビジネスは同じ」――ジャパネット高田社長(1/2 ページ)

» 2006年04月19日 20時25分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「みなさまの顔が宇宙人に見える」――テレビショッピングで知られるジャパネットたかたの高田明社長は4月19日、アフィリエイトシステム「リンクシェア」のユーザーイベントの講演で、こう切り出した。

画像 「今できることを一生懸命にやれば、仕事も世界も広がる」と高田社長

 高田社長は「昭和23年(1948年)生まれのアナログ人間で、PCやメール世代ではない」ため、PCを使いこなすリンクシェアユーザーが宇宙人に見える、という。「不思議な世の中になったものです」

 同社はこの3月からリンクシェアのアフィリエイトに参加。同社ECサイトの売り上げは年間100億円を突破している。

 ECサイトに加え、おなじみのテレビショッピングやラジオショッピング、紙媒体などで事業を展開。同社の年間売り上げは900億円を超え、成長を続けている。

 しかし「(売り上げの)数字はあまり気にしていない」と高田社長は言う。「売り上げよりも、人間として何ができるかを考えたい。商品の先にあるすばらしいものを、伝えていけたらいいなと思います」

商品の先にあるもの

 講演する高田社長は、テレビで見るハイテンションな早口ではない。少しなまった落ち着いた口調。テレビより少し低い声だが、語り口は熱い。

 商品の先にあるものとは何か――高田社長は、ある主婦が、ジャパネットのテレショップでニコンの一眼レフカメラを注文し、小児がんの子どもにプレセントしたという逸話を紹介する。

 カメラをもらった子どもは写真を撮る楽しさを知り、写真コンテストに参加。生き生きと活動し始め、病気と戦う気力がわいた。その様子は新聞記事になり、感謝の手紙とともに高田社長のもとに届いたという。

 「1つのカメラが、子どもや家族の生活を変えていく。これこそまさしく、やらなきゃいけないことなんだなと思いました」

 「『カメラを10万台売りました』というだけなら、できる会社は他にあるんです。でも、ただ物を売るだけなら、こんなにつまらない人生はない」

 高田社長は「心」を伝えたいという。「企業が持つ心、というものを、消費者の方が本当に感じていただいた時に、企業は世の中のお役に立ち、成長できるのでは」

ビジネスは恋愛と同じ

 高田社長は「ショッピングもビジネスも、恋愛と同じ」と語る。その心は「ショッピングも恋愛も、思いを伝えるためにチャレンジし続けること」

 例えば、高田社長が愛用するローヤルゼリーを、ラジオショッピングで売っていた時。1回の宣伝で300ほどしか売れなかった。「1000万、2000万人が聞くラジオで、自分の思いがたった300人にしか伝わらない」というもどかしさ。

 だからある日の放送で、冒頭から「1000人、1000人、1000人」と20秒間つぶやき続けた。「1000個売れなかったらラジオショッピングを辞める」という決意で5分間、プロモーションした。その日、ローヤルゼリーは1300個売れた。

 「自分が本当に信じることを、本気で伝えていけば、人に伝わると思うんです」

伝えるために、300%の努力を

 本気で伝えるためには、賢明な努力が必要と高田社長は説く。努力すれば、必ず結果は出る、とも。「背伸びをせず、努力して、自分の力を300%くらい出せば、人間の世界に不可能はないと思います」

 テレビ番組の自社制作が好例だ。ジャパネットの番組は、CS放送の独自番組を含めてすべて、佐世保の自社スタジオで制作している。当初は経験者ゼロ。放送関係者からは「絶対に不可能」と言われた。

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