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ソニーのエレキ、「回復に道筋」

» 2006年04月27日 21時04分 公開
[ITmedia]

 「エレクトロニクス回復の道筋がはっきり見えた」――ソニーの大根田伸行最高財務責任者(CFO)は、2006年3月期連結決算発表の席でこう切り出した。増益幅はわずかだったが、液晶テレビ「BRAVIA」や、HD画質に対応したビデオカメラ「ハンディカム」シリーズなど戦略商品が好調だった。

 今期は、出荷数倍増を見込んでいる液晶テレビや「プレイステーション 3」向け半導体などが業績に貢献する見通しで、エレクトロニクス事業を一気に黒字化する計画。同事業の売上高営業利益率は「2%を超える」(大根田CFO)としている。

画像 エレクトロニクス分野の外部顧客向け出荷トレンド(現地通貨ベース)。着実に回復しているという

 2006年3月期連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年比4.4%増の7兆4754億円、営業利益は同67.9%増の1913億円、税引き前利益は同82.1%増の2863億円、純利益は同24.5%減の1236億円。

 エレクトロニクス事業の売上高は、前期比1.7%増の5兆1505億円。営業損失は309億円で、厚生年金代行返上益などの影響で同33億円改善した。

 営業損失の主因はテレビと半導体事業。液晶、ブラウン管、プラズマテレビの価格下落で、テレビ事業の損失幅は前期比3.7倍の898億円に拡大した。ただ、液晶テレビの利益率は、韓国Samsung Electronicsの液晶合弁・S-LCDの本格稼働により改善してきているといい、今下期には黒字化する見通しだ。

 半導体の営業損失は、前期比5.4倍の532億円。イメージセンサーや低温ポリシリコン液晶の価格低下などが減益要因だ。今期は、半導体の歩留まり向上やPS3向け半導体の出荷などで業績が改善する見通し。

 それ以外のエレクトロニクス分野はおおむね増益だった。ビデオカメラ事業の営業利益は前期比3.1倍の793億円。「ウォークマンA」シリーズなどを投入したオーディオ事業は、24億円の営業赤字から27億円の営業黒字に転換した。PC「バイオ」のノート型が海外で特に好調で、情報・通信分野の営業益は3.5倍の453億円。ノートPC向けバッテリーが好調で、コンポーネント分野の営業利益は同2.1倍の319億円だった。

 ゲーム分野の売上高は、「プレイステーション・ポータブル」(PSP)の貢献で前期比31%増だったが、PS3の立ち上げに伴うコスト負担により、営業利益は同79.7%減った(関連記事参照)

 映画分野は円安の影響で同1.7%増収だったが、前年の「スパイダーマン2」のヒットの反動などで、57.1%営業減益。金融分野はソニー生命が好調で、売上高32.6%増、営業利益同3.4倍に。音楽を含むその他分野は、ソニーミュージックエンタテインメント利益増加などで営業利益が3.9倍になった。アニメ製作・販売も順調だった。

 持ち分法適用会社のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは好調。携帯電話出荷台数は同28%増の5510万台だった。

 今期の業績見通しは、売上高が前期比10%増の8兆2000億円。PS3立ち上げに伴う費用計上などで減益を見込んでおり、営業利益は同48%減の1000億円、税引き前利益は同48%減の1500億円、純利益は同5%増の1300億円としている。

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