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» 2006年09月22日 16時14分 UPDATE

Interview: キーワードは“地域密着”。ICい〜カードの1年を振り返る――伊予鉄道 (1/3)

“地域の足”である公共交通の衰退は、日本各地の地方都市に共通する問題だ。しかし伊予鉄道が松山市で導入したICい〜カードは、導入1年で大きな効果を上げ、乗車券だけでなく電子マネーとしても使える場所を広げている。伊予鉄道が成功した理由は、どこにあるのだろうか?

[神尾寿,ITmedia]

 2005年8月24日のサービス開始から1年余り。愛媛県松山市で伊予鉄道が導入したICカード「ICい〜カード(FeliCa内蔵カード)」「モバイルICい〜カード(ドコモのおサイフケータイ用アプリ)」は、地域密着型の電子マネーとして着実に進歩・普及している(9月11日の記事参照)

 ここでは、伊予鉄グループにおいてICカード事業を担当するe-カード常務取締役である西野元氏に、約1年ぶりにインタビュー(2005年8月30日の記事参照)。サービス開始後の経緯と最新状況、今後の展望について聞いていく。

ay_iyotetsu.jpg e-カード常務取締役の西野元氏

沿線普及率の急速な立ち上がり

 伊予鉄道が導入した「ICい〜カード」と「モバイルICい〜カード」は、FeliCaを用いたIC乗車券システム/IC電子マネーの1つである。その点ではJR東日本の「Suica / モバイルSuica」やJR西日本の「ICOCA」などと同様なのだが、ユニークなのは導入当初から電車・路面電車・バス・タクシーなど複数の公共交通に対応したことだ。これにより松山市内ではICい〜カードだけで、シームレスな移動が可能になっている(2005年8月24日の記事参照)

 この利便性の高さを背景に、ICい〜カードは急速に普及した。

 「昨年8月にサービスを開始して、我々の目標は平成17年度中に5万枚のい〜カードを発行するというものでした。しかし、(当初目標の)5万枚は昨年の12月に達成しまして、平成17年度中には約8万枚まで伸びました。そして現在は約10万枚を突破しています。我々が想像したよりもICい〜カードの発行が多い状況です。

 さらにICい〜カードの機能は、いよてつ高島屋が発行するポストペイの“ローズカード(IC機能付き)”にも搭載されています。こちらの発行枚数が約16万枚。合計しますと、この1年で約26万枚のICい〜カードを発行することができました」(西野氏)

 SuicaやEdyの発行枚数はすでに1000万枚の大台を突破している。それと比較するとICい〜カードの発行枚数は少ないように見えるが、松山市の人口は約51万5千人(2006年9月1日現在)である。伊予鉄道の沿線人口で試算しても「約65万人ほど」(西野氏)だという。約65万人の沿線人口に対して、約26万枚の発行というのは、普及率の点でかなり速い立ち上がりといえる。

 「利用者の年齢分布もほぼ偏りなく広がっています。IC乗車券は高齢者から“分かりにくい”とご批判されるかなと心配していたのですが、そのようなこともなく、むしろ“公共交通の利用が便利になった”とご好評をいただけています」(西野氏)

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