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ソニーのバッテリー回収は960万台に 費用は510億円

» 2006年10月19日 21時37分 公開
[ITmedia]

 ソニーは10月19日、ノートPC用リチウムイオンバッテリーの回収・交換対象台数が960万台に上ると発表した。内訳は、PCメーカー向けバッテリーパックが800万台、単体バッテリーセルが160万台。バッテリー交換などにかかる費用として510億円を、2006年7〜9月期(2006年度第2四半期)に引き当てる。

 同社は当初、問題の電池の回収で対応する予定だったが、LenovoのPCがロサンゼルスの空港で発火した事故(関連記事参照)がきっかけで960万台すべての交換を決めた。ただこの事故では「6本のセルのうち4本が紛失しており、発火の原因は特定できていない」(大根田CFO)という。

 510億円には、バッテリーの回収・廃棄、専用コールセンターの費用などが含まれるが、今後各社が起こす可能性のある損害賠償訴訟対策費用は含んでいない。同社はすでに東芝から「訴訟を考えている、とするメモを受け取っている」(大根田伸行CFO)という。東芝以外からの訴訟については「確認していない」(同社コーポレート・エグゼクティブSVPの原直史氏)という。

 交換用の電池の供給体制については「PC各社に迷惑をかけないようにしたいが、一部でお待ちいただくことがあろうかと思う」(大根田CFO)とし、生産が追いつかない可能性を示唆した。

 電池回収問題について、経営陣の社内処分などは「特に検討していない」(大根田CFO)が、ユーザーやPC各社への対応などがすべて決まった段階で、改めて記者会見して電池問題の技術的な側面などについて説明する予定だ。同社のPC「バイオ」の売り上げへの影響は「現段階ではコメントできない」(大根田CFO)としている。

 同社は、半導体の歩留まり問題で「プレイステーション3」(PS3)の欧州での発売延期も発表しており、「ソニーのモノ作りの力が低下しているのでは」という指摘もある。これについて原氏は「PS3の半導体と電池の問題は別次元。半導体は“生みの苦しみ”で、新たな技術に挑戦する際には起こり得るもの。電池は製造工程の問題」と弁明した。

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 同社は同日、2007年3月期連結の営業利益を、当初予測の1300億円から500億円に下方修正した(関連記事参照)。修正のマイナス要因は、リチウムイオン電池の交換費用(510億円)、PS3向け半導体の生産稼働率低下(330億円)、PS3の価格・仕様変更(600億円)、PSPなど現行ゲーム事業の不振(300億円)。プラス要因は、円安と、デジタルカメラなどエレクトロニクス分野の好転(540億円)。エレクトロニクス分野については「順調に回復してる」(大根田CFO)と強調している。

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