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「次世代DVDは難しい」 東芝、HD DVD目標を下方修正

» 2007年06月12日 18時46分 公開
[ITmedia]
photo VARDIAシリーズの最上位機種となる「RD-A600」と「RD-A300」

 東芝は6月12日、HD DVD&HDDレコーダーの新製品2機種を6月末から順次発売すると発表した。「VARDIA」シリーズの最上位機種として販売するが、1年前に発表したハイエンド機「RD-A1」からは価格を下げ、レコーダーの需要が強い日本市場でHD DVDの本格普及を図っていく。

 実売予想価格は、600GバイトHDD搭載の「RD-A600」が20万円を切る程度、300GバイトHDDの「RD-A300」が15万円前後。都内で開いた発表会で、同社の藤井美英上席常務は「そんな安くないんですよ」としつつ、「HD DVDで番組を残せるのだから魅力的な価格では」と話した。

 新製品はHD DVD-Rドライブを搭載し、HD DVD-Rの録画再生に対応。2層ディスク(30Gバイト)の場合、地上デジタル放送の録画時間は4時間弱(データ放送部分を省くことでチャンネルによって最大約4時間半まで)。

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 ただ、基本的には番組はHDDに録り貯め、残したい番組をHD DVDで、という使い方を想定している。「Blu-ray Disc(BD)陣営は『HD録画はBDで、HDDは副次的に』と言っているそうだが、録画はHDDに、残り時間を気にせず行うのが基本」(藤井上席常務)。録画はHDDに行い、残したいものは安価なHD DVD-Rメディアにどうぞ──というのが東芝の従来からの主張だ。

 今回、書き換え型のHD DVD-RWには対応しなかった。コンシューマー向けレコーダーではRWの需要は少ないのではと見ており、RWは当面PC用途がメインとの考えだ。

次世代DVDレコーダー市場で7割シェアを

photo 藤井上席常務

 「東芝の敗北宣言が出るのでは、と期待した方もいるのではないかと思いますが、そうはいかない」「なぜBDが勝ったと言えるのか、個人的には不思議に思っている」「4月の米国HDプレーヤーシェアは66%。5月は70%を超え、圧勝だ」──藤井上席常務は発表会でいつも通り気勢を上げた。

 一方で「(今年1月のCESで掲げた)2007年度に世界300万台、2007年暦年で北米180万台という目標は正直、下方修正せざるをえない。次世代DVDの難しさだ」と率直に話した。「BD陣営が頑張って安いプレーヤーを出してくれれば相乗効果が上がるのではと思っていたが、なかなか出てこない。BDも積極的なプライシングで頑張ってほしい」と矛先はBD陣営に向いた。

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 米国ではHD DVDプレーヤー販売台数が15万を超え、プレーヤーに対するソフトの装着率は「BD1に対しHD DVDは4。装着率の優位性は今後も揺るがない」(米Universalのケン・グラフェオ上級副社長)とHD DVDが圧倒している。

 ただ、米国でHD人気は高まっているが、ショップも「テレビを売っていればいいという状況」(藤井上席常務)で、プレーヤーまではHD人気が波及し切れていないのが現状という。「北米で180万台は難しいが、なんとか07年暦年で最低100万台は売りたい」(同)と仕切り直す。

 日本の現状も厳しい。「一番文句言われているのは日本のコンテンツ企業から。『プレーヤーが売れていないじゃないか』と」。国内のHD DVDプレーヤー販売は1万台に達していない。米国でDVDと言えば「映画を観るためのもの」だが、日本では「テレビ番組を録画するもの」。レコーダーの需要が際だって高い日本市場では、相対的に安価になったとはいえ数万円を払って再生専用機を購入するユーザーは少ない。

 日本市場攻略のカギはやはりレコーダー。昨年発表した初のレコーダー「RD-A1」は39万8000円という記念碑的なフラッグシップ機だった。新製品2機種は「かなり商売を意識している」といい、価格がこなれてきた松下電器産業やソニーのBDレコーダーに対抗。“普及価格帯”の戦略製品としてボーナス商戦に投入する。

 2機種の月産計画は合計1万台。藤井上席常務は「レコーダーの本家本元の日本では、次世代DVDレコーダー市場で70%のシェアを取りたい」と意気込んでいる。

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