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レーザーで的を狙え! ライフル射撃もデジタル化

» 2007年09月22日 00時00分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 デジタルピストルの重さは1キロ弱

 「弾丸が出ないピストル」でライフル射撃の面白さを知ってほしい――日本ライフル射撃協会は、弾丸の代わりに赤外線レーザーで的を撃つ「デジタル射撃」の普及を進めている。銃規制が厳しい国内でもライフル射撃競技を手軽に楽しめるようにし、ライフル射撃人口を増やしたいという。

 ライフル射撃競技はライフル競技とピストル競技があり、陸上、水泳に次いで参加国・地域の多い競技だが、国内では規制が厳しい。競技に使うライフルを所持できるのは上級者に限られており、競技用ピストルはさらに厳しく「18歳以上の500人」に限定されている。練習も難しく、競技人口もなかなか増えないのが悩みだ。

 そこで同協会は、NECパーソナルプロダクツと協力して2002年にデジタルライフルとデジタルピストル、専用の的を開発した。ピストルは単三形電池1本で動き、弾丸の代わりに赤外線レーザーを撃つ。得点や着弾点は、的とLANケーブルで接続されたPCに表示。銃口の動きの軌跡も確認できる。安全上、レーザーは的に向けた時にしか発射しない仕組みになっている。


画像 ピストル選手の小西ゆかりさん(左)と松田知幸さん
画像 松田知幸さんはライフル射撃競技で北京オリンピック出場が内定している

 デジタルピストルを片手で持ち、1メートル40センチの高さに設置した的に向かって、10メートル離れた場所から射撃する。銃を撃つときのような衝撃は感じないが、電子音で撃ったことが実感できる。

 的の中心に当たると10点で、外れるほど得点が下がる。記者も実際に撃ってみたところ最初は1点だったが、3発目で8点と高得点をゲット。だが1キロ弱のピストルを片手で持ち、腕を伸ばして狙いを定めるため、二の腕や肩が辛くなってきて的が絞れなくなり、3〜4点しか取れなくなった。10発ほど撃ったところで腕がプルプル震え、それ以上続けられなくなった。

 男子は1時間45分以内に60発(600点満点)、女子は1時間15分以内に40発(400点満点)を撃つ。その後、得点上位の8人が10発ずつ撃って得点を競い、優勝者を決める。「PK」「シュートオフ」などさまざまな競技方法がある。

 照準が的の中心に近づくほど高音で知らせてくれる音声照準機能も装備しており、視覚障害のある人でも競技ができる。弾丸や火薬、紙製の的なども使わないため環境にもやさしいとしている。

画像 PC画面には得点や着弾点を表示する

 同協会の坂本剛二会長は「日本ではなかなかメジャー競技にならないが、安心で楽しいデジタル射撃を広めたい」と話す。デジタルピストルを使ってジュニア選手の育成などを行い、世界で通用するライフル射撃選手を輩出したいとしている。

 9月29日に秋田県で始まる第62回国民体育大会では、ライフル射撃競技でデジタルピストルの採用が決まり、普及に向けて進みつつある。

 デジタルピストルは約18万円、デジタルシューティング専用の的は約27万円。安価に体験したい人は、東京・目黒区立中央体育館などで、500円程度で体験できる練習会が開かれているほか、1日5250円でレンタルするシステムもある。

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