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サーバラックにクーラー直付け IBMと三洋、DC向け省エネ空調を開発

» 2007年10月23日 16時58分 公開
[ITmedia]
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 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)と三洋電機は10月23日、データセンターの消費電力を最大25%以上削減できるという空調サービスを発表した。サーバラックの後部ドアに熱交換機を直接取り付けて排熱を半減させる方式で、効率良く冷却でき、省電力化が可能という。消費電力の増大がデータセンター共通の課題になっており、冷却効率の良さと省電力化を売りに、1年で国内15カ所への導入を見込む。

 IBMが2005年に発表した「Rear Door Heat eXchanger」(RDHX)技術と、三洋が新開発した「enegreen 冷媒式マルチサーバークーラー」を組み合わせたデータセンター用空調設備構築サービス。

 IBM製19インチ42Uラックの後部ドアに冷媒式の熱交換機を取り付け、サーバ後部から直接、排熱の約50%を取り除けるという。サーバの後部ファンから出る風を利用するため、熱交換機自体はファンレスにできた。取り付け工事は冷媒の配管など簡単なもので済むという。

 室内全体を空調する従来型(全体空調)の場合、室内の特定の場所に「熱だまり」ができる上、サーバごとの発熱の変化にも対応しにくい。RDHXは、最も高温になるサーバ後部の熱を直接取り除き、全体空調と組み合わせることで効率よく冷却が可能になるという。センサーで感知した熱負荷の変化に応じ、装置の上下でそれぞれ冷却出力を調節できる仕組みも備えた。

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 全体空調で同じ熱負荷を冷却する場合に比べ、約50%の消費電力を削減できるとしている。実際のシステムでは、冷気を循環させるために全体空調と組み合わせて使うが、例えば2台の全体空調のうち1台をRDHXに置き換えれば、約25%の省電力化が可能になるという。

photo 日本IBMの吉崎敏文執行役員(左)と三洋の菅晃コマーシャルグループ長

 IBMが05年にRDHXを発表した時は水冷式だったが、サーバルーム内での水の使用を嫌がられるケースは多い。新製品はオゾン層破壊係数がゼロという冷媒を使う方式。水冷方式に比べ導入コストが半分で済むメリットもあるという。価格はラック3台の場合で1800万円(室外機、標準工事費含む)。

 開発では日本IBM大和研究所のサーバ冷却技術開発チームと、業務用空調機・冷蔵庫で世界大手の三洋が協力した。製造は三洋が担当するが、販売や導入設置は日本IBMが行う。

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