「簡単に漫画を作ってmixi日記やブログで紹介できたら」――漫画家志望の女性のこんなアイデアからうまれたサービス「マンガコミュニケーションシステム」が、12月27日にα公開された。
複数の写真をアップロードすると、漫画のコマの中に1枚ずつ自動で配置し、吹き出しでセリフを付けて画像ファイル化できるサービスだ。
情報処理推進機構(IPA)が認定した「スーパークリエータ」で、プロの漫画家を目指しているという小林由佳さん(23)のアイデアが原点。小林さんが所属する札幌のIT企業・テクノフェイスが開発した。
サイトで複数の写真をアップロードし、それぞれの写真に5段階の「注目度」を設定。「少年漫画風」「少女漫画風」などのジャンルを選ぶと漫画を作成できる。
注目度を高く設定した写真は大きなコマに、低い写真は小さなコマに配置。「少年漫画風ならメリハリのある感じ、少女漫画風なら枠のないコマが多いなど独特の構図になる」(小林さん)と、漫画家志望ならではの芸の細かさも。吹き出しを付けてせりふを入れたり、マウスでイラストを描き込んで装飾することも可能だ。
漫画入りの年賀状を作成する機能も。サイト上の年賀状テンプレートを1つ選び、写真をアップロードすると、はがきに収まるサイズの漫画を作成できる。
今後は、1つの漫画に対して複数のユーザーでせりふやイラストを書き込んだり、他ユーザーの写真を使って漫画を作成する――といったコミュニケーション機能を追加する計画。同社研究開発部プロダクトテクノロジグループの茶谷哲光シニアマネージャは「複数のユーザーでオチを考えて漫画が作れたら面白いだろう」と話す。
ユーザーの声を聞きながらサービスを改善し、2月上旬にβ版化、その後正式版にする予定だ。正式版公開後は、ブログ事業者など向けに販売する計画だ。
アイデアの原点は、小林さんが2005年に高等専門学校の卒業制作として手がけた、コマ割りソフト「POM」だ。
POMは「鳥山明」「矢沢あい」などコマ割りを真似したい作家をメニューから選ぶと、選んだ作家風のコマ割りと構図を提案してくれるソフト。コマ割りに悩んでいた小林さんが開発し、IPAの2004年度未踏ソフトウェア創造事業の未踏ユース部門に採択された。
「POMは本格的に漫画を描こうとしている人がターゲットだったが、より多くの人に漫画を楽しんでもらえるものを作りたかった」と小林さんは話す。「マンガコミュニケーションシステムを、写真を楽しく表現するための手段の1つとしても提案したい。漫画なら、文字と写真だけを載せるより注目してもらえる」(小林さん)
最終的には「動く漫画」を作れるようにしたいという。「吹き出しのせりふを自分の声で読み上げたり、コマの中で動画を再生したり、コマの中身が入れ替わるなど新しい漫画のスタイルを提案していきたい」(茶谷さん)
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