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» 2008年02月08日 07時21分 UPDATE

「危機感あるが、頭打ちではない」 mixi笠原社長に聞く成長戦略

mixiのアクティブ率とPC版のPVが急速に低下している。笠原社長は「危機感を持って取り組んでいる」とし、Twitterのように気軽に交流できる機能の追加を検討。「成長余地はまだまだある」とも話す。

[岡田有花,ITmedia]
画像 PVとユーザー数の推移。PC向けのPVが急減。モバイルのPVは増えているが、補い切れていない

 「成長余地は、まだまだあると思っている」――SNS「mixi」を運営するミクシィの笠原社長は言う。

 mixiのアクティブ率(3日以内にログインしたユーザーの割合)低下が止まらない。2006年11月までは7割を維持し、笠原社長も「アクティブ率の高さが売り」と公言していたが、昨年末に58%まで落ち込んだ。PC向けmixiのページビュー(PV)も07年半ばごろから下落が続き、「mixiモバイル」のPV成長率も鈍化している。

 右肩上がりの成長が当たり前だったmixiは、踊り場にさしかっているのだろうか。「会社としても危機意識を持って取り組んでいる」と笠原社長は言う。

「つながりにくく」なっている?

 2006年以降にmixiに参加したユーザーのアクティブ率が特に低いという。同社がミクシィに社名変更し、上場するなど急速に注目が高まったころ。ユーザーが急増して知り合いやコミュニティなどが見つけにくくなったことが背景にあると笠原社長はみている。

 mixiがオープンして間もない04〜05年は、本名で登録するユーザーも多く、コミュニティの数も限られていたため、知り合いや同じ趣味を持つ人と出会うことが比較的容易だった。だが06年ごろからは登録時に実名を避ける人が増え、ユーザー数・コミュニティ数も急増。08年1月現在で200万コミュニティを超えている。「同級生を探そうと学校名で検索しても、同じ高校のコミュニティだけで2つ3つあることもある」

 mixiに参加しても友人を見つけることができず、楽しさを知らないままログインしなくなる――そんな機会損失があると、笠原社長は分析する。

 ユーザー同士を出会いやすくし、マイミクを増やせる仕組みを改めて構築できれば、アクティブ率低下に歯止めがかけられると笠原社長は見ている。指標は「マイミク20人」。マイミクが少ないほどアクティブ率が下がる傾向があり、20人を境にアクティブ率が急落するという。

Twitterのような機能も?

画像 笠原社長

 目指すのは「つながりたい人とつながる」仕組みの再構築。探したいコミュニティやユーザーがすぐに見つかるよう検索機能を改善するほか、「日記を書かなくなるととたんに交流がなくなってつまらなくなり、mixiにログインしなくなる」という課題を解消したいという。

 日記よりもライトに更新でき、交流できる仕組み作りを検討中だ。Twitterのように短いコメントを更新して友人に届けられる機能や、米SNS「Facebook」の「Wall」のように、気軽にコメントできるゲストブック的な仕組みの設置を検討している。

 PVを機械的に高めたいなら、ユーザーインタフェース(UI)をいじってクリックが必要なページを増やすという手もある。だがmixiはこれまでのリニューアルでむしろ、クリック数を減らすようなUI変更を行ってきている。「画面遷移が良くなってPVが下がるのはいいと思う。Ajax(Asynchronous JavaScript+XML)で動かせるUIに、無駄に1ページを挟むのはよくない」

スパムにも悩まされる

 スパム対策も課題だ。スパム業者が宣伝目的のアカウントを取り、大量に「足あとスパム」を付けたりスパムメッセージを送りつけるという問題がユーザー離れにつながっている面もあり、先日は「mixii」(ミクスィ)を名乗る悪質な業者のスパムメールに注意喚起した。対策のためにパトロールを強化したり、システムで対応していくという。

モバイルは「業界経験者で専門チーム」

画像 mixiモバイルにはゲームも導入

 利用が落ちてきているPC版と異なり、モバイル版「mixiモバイル」は成長が続いている。1月末にはモバイル専任部署「モバイル企画部」を発足。「モバイル業界経験者が集まっている」という。

 mixiモバイルはここ1年で大きく変化した。絵文字の多いUIにしたり、ポップな背景スキンやデコメ素材を提供するなど、モバイル特有の流行を押さえて機能追加してきた。「モバイルはひまつぶしという要素が強い」と無料ゲームも投入した。

 ただ「ゲームやデコメもmixi上でのコミュニケーションの延長線上にある」という。ゲームはマイミク同士で点数を競えるようにし、デコメもマイミク同士で交流してもらうために提供するなど、「コミュニケーションインフラとしてのmixi」という方向性は、モバイルでもPCもぶれないようにしていきたい考えだ。

モバイル広告「mixiが切り開かないと」

画像 広告単価は右肩上がり

 広告事業はPC、モバイルとも順調で、1PV当たりの単価も上昇が続いている。特にモバイルは「いい位置にいる」という。

 「PCだとどうしてもYahoo!JAPANの次という位置づけになるが、モバイルだとmixiを最初に考えてくれることが多い」。PVは、PCはYahoo!にかなわないが、モバイルはYahoo!を大きく上回る。

 モバイルの広告媒体としてライバルとなるのは「モバゲータウン」だが、モバゲーが若年層に強いのに対して、mixiは18歳以上限定。モバイルでは数少ない「大人向けのメガ媒体」として、ナショナルクライアントからの注目度も高いという。「モバイル広告は、mixiが切り開いていかないといけないと思っている」

安易なフィルタリングには「待った」

 未成年の携帯サイトフィルタリング原則化には懸念を示す。「当社への影響は限定的だが、現状のフィルタリングでは、情報発信型サービス全体が使えなくなる。最近のネットサービスは人と人と情報共有で価値を分ける仕組み。18歳未満が一律で使えなくなる、ネットにあまりいい影響を与えないのでは」

インディーズ機能は「One Day Free」の成果

 本サービスになる前の機能を試す「インディーズ機能」も続々と投入してきた。同社エンジニアが1週間のうち1日、普段の仕事以外のテーマに取り組める「One Day Free」(ODF)の成果の発表会場でもあるという。

 インディーズ機能として公開した、特定コミュニティに関連するコミュニティを表示する「コミュニティブラウザ」は、本サービス化する予定。自社開発の検索技術・テキストマイニング技術をいかしたサービスだ。

 「mixi内のデータはぼう大。検索の使い勝手の善し悪しがサイトのアクティブ率にもつながる」

ユーザー3000万人も可能

 登録ユーザー数も1300万を超え、そろそろ頭打ちでは――とも考えられるが「まだまだ伸ばしていける」と笠原社長は言う。

 「米国のMySpaceやFacebook、韓国のCyworldの普及率を見ても、mixiはまだ普及途上だと思う。mixiは最も普及している20代前半で50%以上の普及率だが、コミュニケーションインフラに近づくことができれば、90%を超えることも可能になる。2000万〜3000万人が上限ではないか」

API公開、「できるだけ自由に作ってもらいたい」

 GoogleのSNS用オープンプラットフォーム「OpenSocial」にも参加。API公開に向けて準備を進めている。「できるだけ自由に利用してもらえるようにしたい」としながらも、まずはmixiサイト内で利用できるアプリケーションを作成できる場を提供する計画。トラフィックを外部に逃がさないようにしつつ、同社が想定しないような新アプリが登場すれば――と期待する。

 オープン化で多様なアプリを作ってもらうことで、ユーザーの好みの多様化に対応する狙いだ。「『mixiには自分で作ったサービスが入っている』という意識を持ってもらえれば、mixiへの愛着を高めてもらえるのでは」という期待もある。

クリエイターが集まる場にしたい

 今後は、ユーザーが作成した映像や音楽、画像などが集まるプラットフォームにもしていきたいという。

 「クリエイターが作品をネットで公開するという流れが加速しているが、mixiもそのプラットフォームになりたい。mixiには、日記や動画で作品を発表している人もいる。クリエイター専用アカウントを作って発表しやすくする、といった展開もありえるだろう」

 mixiは個人同士がつながるプライベートなコミュニケーションツール。だが作品の発表も、プライベートの延長線上にあると話す。「自分が作ったものを見せたいというのもコミュニケーション欲求だと思う。現状ではプライベートな見せ方しかできないが、もう少しパブリックなものも取り込んでいきたい」

 同社は事業の拡大へ手を打ち始めており、海外展開も検討中。mixiと、求人サイト「Find Job!」に加え、「3つめのサイトも、チャンスがあればやりたい」という。

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