独立行政法人・農業環境技術研究所は、120年前の明治時代に作成された関東地方の地図をネットで閲覧できる「歴史的農業環境閲覧システム」を4月21日にネット公開する。Google Earthで現在の衛星写真と重ね合わせ、「里地里山の原景観」の移り変わりを調べることができる。
公開するのは、明治初期〜中期に、簡単な測量で作成された「迅速測図」。関東地方のものは約900枚あり、彩色により地目が判別できるようになっている。これを相対的な位置関係に基づき1枚の画像として統合、位置情報を付与してGIS(地理情報システム)上で現在のデータと一緒に扱えるようにした。
オープンソースソフトウェアの「GeoServer」などを活用してシステムを構築。Webブラウザから閲覧できるほか、Google Earth上で重ね合わせて表示し、現在の状況と当時との変化を知ることもできる。WMS(Web Map Service)準拠のGISを使い、土地利用の変化を分析する使用として利用することも可能だ。
同研究所は「閲覧できる明治初期の土地利用は、農業活動により管理されていた里地里山の原景観の1つ。里地里山には管理方法に応じた多様な生物相が存在していたと考えられ、現在の土地利用と比較することで、関東地方の生物多様性の変化などの基礎資料としての活用が期待できる」としている。
今後、120年前から現在までの途中の時期の土地利用情報も閲覧できるようにするほか、住所による位置検索機能を追加する予定。
18日に開催する研究所一般公開(茨城県つくば市)で展示する。
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