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» 2008年04月21日 08時05分 UPDATE

Display 2008:「今年こそ“飛び出すテレビ”元年に」 ビクター、2D映像を3D化する技術

盛りあがっては消える――3D立体視映像技術はそんな繰り返しだった。「今年こそ3D映像が本格的に普及する元年になるかも知れない」と、3D技術を研究してきたビクターの研究者は言う。

[岡田有花,ITmedia]
画像 3D映像表示用テレビ(右側)には、有沢製作所の偏光フィルムを取り付けている

 「立体視できる3D映像の技術は、盛りあがっては消えるということを繰り返してきた。だが今年は、本格的に普及する元年になるかもしれない」――3D映像技術を研究し続けてきたという、日本ビクターの技術者・山田邦男さん(コア技術開発センター新映像システムユニット主席技師)は話す。

 同社は「Display 2008 フラットパネルディスプレイ展」(4月16〜18日、東京ビッグサイト)で、テレビ番組など一般の2次元映像(HD画質)から、左目用の映像と右目用の映像をリアルタイムで生成し、3Dの映像ソースに変換する技術を展示していた。変換後の映像は、専用眼鏡で見ると飛び出して見える。

 ステレオカメラを使って3D専用に撮影した映像と比べるとやや不自然ではあるものの、桜の花のアップ画像がぐっと手前に迫って見えたり、公園の木が奥に、歩く人が手前に見えるなど、ある程度自然な立体感が得られる。

 技術は独自の「曲面モデル」と、色情報から奥行きを推定する技術を組み合わせて開発した。まず、画面全体を曲面ととらえ、大まかな奥行きを設定する。画面の特徴を分析し、あらかじめ設定しておいた3種類の曲面から1つを選んで当てはめているという。

画像

 その後、人間の目の錯覚や認知の仕組みを応用し、映像の色情報から遠近感を付けていく。人間の目は、手前に感じる色「前進色」と、奥に感じる色「後退色」があり、例えば赤いものは手前に、青いものを奥に見えるという。この性質をいかして映像の色から奥行き情報を設定した上で、元映像を偶数・奇数ラインで分割して右目用・左目用のステレオ画像を作り出し、眼鏡で立体視できるようにしていく。

 「3D技術者はこれまで、何度も失敗を経験してきた。3D技術は盛りあがっては消えている」――3Dの研究を続けてきたという山田さんは話す。「ちょっと困ると3Dという調子で、例えば3D映画も最初は盛りあがったが、下火になった」

 なぜ盛り上がりが持続しないのか。「技術があってもコンテンツがなかったから」と山田さんは指摘。盛り上がっても見るものがなく、すぐにネタ切れになってしまう――という訳だ。

 同社の技術なら、従来のテレビ向けコンテンツなどさまざま2D映像を3D映像ソースに変換でき、古い映像も、今映っているテレビ番組もリアルタイムで疑似3D化できる。回路は「映像エンジンの隅にちょこっと入れられる程度の大きさ」といい、テレビへの実装も容易だ。技術はカナダのSensio Technologiesに提供済みという。

 昨年12月にはBSデジタル放送「BS11」が3D番組の放映を始め、対応テレビも今月発売されるなど、コンテンツとハードが連動した3Dテレビ環境の整備の兆しが見えてきた(関連記事:“映像が飛び出す”3D液晶テレビ、ビックカメラが発売)。「飛び出すテレビ」の普及が、今度こそ始まろうとしているのかもしれない。

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