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2008年の新製品にカムバックの希望を託すAMD

» 2008年04月21日 09時54分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米AMDにとって、未来といえば製品がすべてだ。

 6期連続の赤字となった先日の決算発表後、ヘクター・ルイズCEOとダーク・マイヤー社長は金融アナリストに対し、AMDはノートPC、デスクトップPC、サーバ向けの新製品を打ち出し、強大なライバルIntelとの差を縮める計画だと語った。

 さまざまな製品をうまく組み合わせればAMDにとって救いとなるかもしれない。しかし同社は経営の安定性を取り戻すため、人員と経費の削減、そして恐らく不採算部門の切り捨てを計画している。電話会見でルイズCEOは、2008年末までに黒字転換を果たすという目標を再確認した。

 AMDは今年、主力製品のサーバ/PC向けx86マイクロプロセッサと、2006年にATIを買収して以来進めているグラフィックス事業に集中する計画だ。

 AMDは、サーバ向けクアッドコアOpteronプロセッサのB3というバージョンの増産も開始している。これは2007年に提供開始が遅れる原因となった設計上の不具合に対処したバージョン。B3は第1四半期の売り上げに貢献するには遅過ぎたが、DellとHewlett-Packard(HP)は新しいOpteronを採用したシステムを複数発表し、Sun MicrosystemsとIBM、Fujitsu-Siemensもこれに続く見通しだ。

 Technology Business Researchのアナリスト、ジョン・スプーナー氏は4月17日の報告書に次のように記している。「AMDの第1四半期は、クアッドコアOpteronサーバが大手メーカーから出ていなかったことが打撃になった。一方、季節要因と米国での消費者需要鈍化のあおりで、AMDは2007年第4四半期のように、サーバ出荷の減速をノートPC向けプロセッサの売り上げ増大で相殺することができなかった」

 新しいOpteronのフル出荷は、同プロセッサの浮動小数点演算機能に助けられ、マルチプロセッササーバやHPC(高性能コンピューティング)分野でAMDの支えとなるはずだ。

 マイヤー社長によると、そこから同社初の45ナノメートルプロセッサ「Shanghai」製造へと向かい、プロセッサ内部のパフォーマンス強化と、消費電力を抑えた小型プロセッサ製造のチャンスをうかがう。夏には45ナノメートル製品の増産を開始し、第4四半期に最初の製品を登場させる計画だ。

コンシューマー向けノートPCへの期待

 AMDにとってもう1つ大切なのは、ノートPC市場向け製品だ。電話会見でAMD経営陣は、AMDはIntel以上に、消費者の気まぐれな出費と米国景気後退の影響を受けていると話した。同社はコンシューマーとSMB(中小企業)の両方の市場をつかめる強力な製品をノートPC向けに提供したい意向だ。

 第2四半期はノートPC向けプラットフォームの「Puma」を発表予定。これには「Turion Ultra」というデュアルコアプロセッサと新しいRadeonのグラフィックス統合チップセットが含まれる。マイヤー社長によると、既に多数のOEMが採用を表明しており、今年後半はまだ堅調なノートPC市場に期待をかけている。

 「コンシューマー市場におけるノートPCのシェアが全体的なノートPC市場に比べて高いことが、季節要因に照らしてやや有利に働いた。これが下半期の追い風になるチャンスは相当大きい」。マイヤー社長はアナリストにこう語った。

 「さらに、Pumaプラットフォームの設計がSMBにある程度支持されている状況を見ても、下半期はシェア拡大のチャンスがある」

 デスクトップでは第1四半期末にクアッドコアとトリプルコアのPhenomプロセッサの出荷を開始するが、売り上げの助けにはなりそうにない。第2四半期は引き続き同プロセッサの強化を図りたい意向。「Perseus」という新プラットフォームで商用クライアントの分野にも参入し、これまでIntelが支配していた市場への切り込みを目指す。

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