ニュース
» 2008年05月08日 21時27分 UPDATE

私的録音録画小委員会:文化庁「iPod課金=補償金拡大ではない」 JEITAと対立 (1/2)

iPodやHDDレコーダーなどへの課金を含む、録音録画補償金制度の改定案を文化庁が提示した。JEITAなどメーカー側は「補償金制度の拡大に向かっているようにしか見えない」と指摘。文化庁は「誤解だ」と反論した。

[岡田有花,ITmedia]
画像 「iPod課金」にまつわる新聞報道の影響か、私的録音録画小委員会としては珍しく、複数のテレビ局が取材に訪れていた

 文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」の今期第2回会合が5月8日に開かれた。文化庁は、iPodやHDDレコーダーなどを録音録画補償金の課金対象とする制度改正案を提示。「ダビング10」も「権利者が要請したDRMではない」とし、補償金でカバーする必要があると改めて示した。

 文化庁案に対して、電子情報技術産業協会(JEITA)などメーカー側の委員は「補償金の課金対象が際限なく拡大するのでは」と懸念を表明。文化庁側は「それは誤解だ」と反論するなど、議論が紛糾した。

 法学者の複数の委員からは、長期にわたった議論を終息させるためにも、文化庁案の方向でまとめるべきという意見が出た。

 文化庁はJEITAのなどの“誤解”を解くための資料をまとめ、5月29日に開く次回の小委員会での合意形成を目指す。iPod/HDDレコーダーを課金対象に加える方向で調整を進め、早期の法改正につなげる方針だ。

iPodやHDDレコーダーも課金対象に

 文化庁は今回の会合で、2種類の資料を提示。1つは、1月17日に提示した資料の補足として「権利者の要請に基づくDRMとは何か」などをまとめた計8ページの資料(資料2、下に掲載)。もう1つは、新制度の骨子や、補償金の対象となるべき機器の分類などを示した、計5ページの資料(資料3)だ。

 1月17日の資料で文化庁は「DRMによってコンテンツの複製回数を完全にコントロールできれば、補償金は不要になる」とし、著作権法30条2項に定めた補償金制度を順次縮小していくという方向性を示していた。

 ただ、DRMが普及するまでの「当面の経過的措置」として、(1)音楽CDからの録音、(2)無料デジタル放送からの録画――については、当面は補償金を残す必要があるとした。(1)は現在、事実上コピーフリーとなっているため。(2)については、地上デジタル放送の「ダビング10」が「権利者の要請に基づくルールではない」ため、「補償金で手当てすべき」というロジックだ。

 この時点では具体的な課金対象機器などが示されていなかったほか、委員から「『権利者の要請に基づくDRM』の定義が不明」といった意見が出ていたため、文化庁は今回、2つの資料でそれぞれを詳細に説明した。

 資料3で示した新制度の骨子によると、課金対象は「録音録画を主たる用途とする機器と記録媒体」とし、従来よりもその範囲を広げる方針だ。

 従来の対象は、DVDレコーダーやMD、DVD-RWなど、録画・録音機器とメディアが別々になっている「分離型専用機器」「専用記録媒体」だったが、これに加え、iPodなど「携帯用オーディオレコーダー」や、HDDレコーダーなど「記録媒体を内蔵した一体型のもの」を対象に加えるべきとしている。

 ただ、PC(テレビチューナー付きPCを含む)や携帯電話など汎用機器は対象とすべきではない、とした。ボーダーライン上にある機器については「関係者間の協議で解決しない場合は、公平な評価機関で判断する」としている。


画像 資料2
画像
画像
画像

画像
画像
画像
画像

 多くの委員が質問した「権利者が要請するDRM」については、資料2で「権利者側がある種の仕様を強く要請してできた技術」と説明。ただ、権利者が技術開発に参加するなど、DRMの採用や決定に関与すれば「権利者からの要請があった」とみなし、補償金の課金対象から外すべきとしている。「ダビング10」はこれには当たらず、補償が必要という扱いだ。

「補償金制度が拡大する懸念がある」とメーカー側

 メーカー側の委員はこれらの案について「補償金制度が拡大していく懸念がある」と指摘する。

 「今回の案は、結果として補償金制度を拡大しようとしてるようにしか読めない」――日本記録メディア工業会著作権委員会の井田倫明委員は言う。JEITA常務理事の長谷川英一委員も「制度の縮小・廃止に向けた道筋を示してほしい」と、文化庁に説明を求めた。

 課金対象機器については「評価機関が決めるというが、フランスの評価機関は権利者団体が委員の過半を占めており、携帯電話まで課金対象にした」(井田委員)と指摘。対象拡大への懸念を示す。

 「権利者の要請」という文言の解釈についても「『ダビング10は権利者の要請ではないことは明らか』としているが、権利者の言う通りの内容でまとまらないといけないのか。『納得はいかない』『苦渋の選択』と言うだけで『権利者の要請ではない』とされると問題」(井田委員)と指摘した。

 JEITAの著作権専門委員会委員長の亀井正博委員は「『権利者の要請』など現行法にない概念を導入するのは、著作権法の解釈に関わる問題。解釈の妥当性についての納得できる説明があって初めて、ダビング10などに当てはめるべき」と述べた。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

マーケット解説

- PR -