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» 2008年05月16日 10時26分 UPDATE

「技術を極めれば、新しいものが生まれる」――26歳社長、世界を目指す

鉄道模型ファンのコミュニティーなど一風変わったサービスを、矢継ぎ早にリリースしているベンチャー企業がある。26歳社長が率いる「アシアル」。社員16人のうち、14人は技術者だ。

[宮本真希,ITmedia]

 鉄道模型のブログコミュニティー「トレイン・トレイン」、ケータイ小説でノベルゲームを作成・投稿できる「ノベつく」――ちょっと変わったネットサービスを、「アシアル」(Asial)という耳慣れないベンチャー企業が、3月に始めた。

 「“ガツガツ”新しいサービスを公開していく」と意気込むのは、社長の田中正裕さん(26)。起業したのは2002年、東京大学の3年生の時だ。アジア(Asia)のリーダー(Leader)に――社名にはそんな思いを込めた。

 PHP専門ベンチャーとしてこれまで、PHPを活用したシステム開発や、PHP関連の書籍翻訳を手がけてきた。そして今春新たに、ネットサービスに本格参入した。社員は現在16人。うち14人は技術者だ。

 「YouTubeやFlickrのように、数人がほんの数カ月で開発したサービスが世界的なサービスになる。自分たちでも同じようなことができるんじゃないか」と、若き社長は言う。

試験勉強の合間にプログラミング

画像 田中正裕さん

 田中社長は、小学生時代をアメリカで過ごした。小学校には1人に1台、PCがあったという。「PCを触るのが楽しかった」

 プログラミングを始めたのは中学のころ。「試験勉強の息抜きだった」といい、ソフトを作ってはクラスメイトに配り、使ってもらった。Windowsのタイトルバーに電車のイラストが走るソフトや、英単語の意味を日本語で入力すると、正誤を確認できる「暗記くん」は好評だったと振り返る。

 「自分が作ったプログラムをほかの人に『すごい』と言ってもらうのがうれしくて」

 Windows 95が発売されたのもこのころ。「ビジネスとしてもソフトウェアは魅力的だと知った。自分もビジネスとしてやっていきたい」――起業への思いを温め始めた。

「技術を極めれば、新しいものが生まれる」

 東京大学に入学するとすぐに、ネットベンチャーでアルバイトを始め、iモード向けのメール配信システムの構築を手伝った。PHPもバイト先で学んだ。

 「何か1つの技術を極めれば、新しいものが生まれると思った」。大学3年で「アシアル」を起業。「プログラミング言語専門の会社がほとんどなかったから」、PHP専門の会社と位置付け、まずは海外のPHP専門誌の翻訳・販売を始めた。

 「ECサイトを運営するなど、1つのサービスを専門にしている会社はあっても、技術を専門にしている会社はなかった。自分は技術者で、技術を追い求めることに魅力を感じているから」

 経営基盤をしっかりさせることが最初の目標。起業から6年経った今、収益の半分は、PHPを活用したシステム構築や技術コンサルティングから、残りをPHP関連ソフトやPHP専門誌の販売、PHP関連のセミナーなどから得ている。

ニッチでナンバーワンを目指す

 安定した収益基盤を背景に今春、ネットサービスに本格参入した。「システム構築やコンサルといった業務は、“アシアル1.0”世代の顔。“アシアル2.0”では、自分たちが持っている技術を生かしたネットサービスを築いていく」

画像 トレイン・トレイン(3月公開)の会員数は2000人。鉄道好きの若手社員が2カ月で開発した

 社員全員でアイデアを練り、コンペを開いた。簡単に開発できて面白いというのが基準。「公開するまでに1年かかるようなサービスは選ばない」

 コンペで生き残ったのが、鉄道模型のブログコミュニティー「トレイン・トレイン」と、ケータイ小説でノベルゲームを作成・投稿できる「ノベつく」という一風変わったサービスだ。6月には、カラオケの持ち歌を管理できる音楽サイトを公開する予定。サイトに広告を掲載したり、関連商品を販売するなどといったビジネス化を検討していく。

 「今後も“ガツガツ”新しいサービスを公開していく」――注力するのは「今は市場もなさそうなニッチな分野」でのネットサービス開発だ。「起業した当初、PHPはJavaや.NETに比べニッチだったが、どんどん広がっていった。鉄道模型やノベルゲームのように、ニッチな分野でもナンバー1になれば、ビジネスになるはず」

シリコンバレー進出は「東大周辺に予備校がたくさんあるのと同じ」

画像 会議室には最近Webカメラを用意した。「シリコンバレーと国内を結んで会議できる」と田中さん

 夢はシリコンバレー進出。すでに準備を進めている。「自分たちが通用するかどうかを試したい。PHPで世界に打って出たいわけではなく、ネットサービスを開発したい」

 なぜシリコンバレーでなくてはならないのか。「東大のキャンパスの周りに、東大へ行くための予備校がたくさんあるのと同じ」という。ネットサービスの開発は日本でもできる。だが、ネット業界の“東大”であるシリコンバレーの雰囲気を知ることが重要だという。

 「アメリカ発のサービスと日本発のサービスは何かが違う。例えばワークスタイルの違いが反映されているのかもしれない。日本にいては伝わってこない“何か”をシリコンバレーで経験したい」

 「日本にも大企業はたくさんあるが、短期間で成果を出すという短期決戦のアメリカンスタイルの会社は少ない。それがなぜなのかは、本場に行かないと分からない」

 ビザと場所さえ用意できれば、2008年度中に進出し、何らかの成果を出したいという。

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