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» 2008年11月07日 22時15分 UPDATE

「厳しい時こそ大きな手を打つ」──パナソニックが三洋子会社化へ、国内最大の電機メーカーに

パナソニックによる三洋電機の子会社化計画が正式に発表され、国内最大の電機メーカー誕生に近づいた。世界的金融不安で将来の見通しが激変する中、パナソニックにとっても「もう1つの成長エンジンがどうしても必要」だったという。

[ITmedia]
photo 握手する大坪文雄社長(左)と佐野社長(中継映像を撮影)

 パナソニックと三洋電機が11月7日、三洋電機の子会社化を前提とした資本・業務提携の協議を始めることで合意したと正式に発表した。両社連結売上高の単純合計は11兆2200億円(09年3月期見通し)となり、日立製作所を抜いて国内最大の電機メーカーとなる(パナソニック、三洋子会社化に向け協議開始 正式発表)。

 大阪市内で会見したパナソニックの大坪社長は「世界的優良企業になるために、もう1つの成長エンジンがどうしても必要だ。厳しい時こそ大きな手を打つべきであり、三洋はベストパートナーだ」と述べ、「絶対にシナジーの成功事例にしたい」と意気込んだ。

 大坪社長は、環境に配慮した製品開発を進めている三洋が「『企業は社会の公器』というパナソニックの理念と合致する」とし、「理念の近い両社の協業でノウハウなどを共通化し、グローバル経営を強化すれば、すべてのステークホルダーに大きく貢献できる」と話す。

 メリットが大きいのは太陽電池や二次電池など、三洋が強い環境・省エネ分野。太陽電池など三洋の製品をパナソニックのグローバル販売網を活用して拡販するほか、パナソニックが取り組む燃料電池と三洋の太陽電池を組み合わせれば「うまくハイブリッド化できる」と、両社の強みを組み合わせたシナジー(相乗効果)を見込む。

 また共同購買の推進に加え、「イタコナ」「コストバスターズ」など、パナソニックのコスト削減ノウハウを三洋に導入する一方で、三洋の量産技術をパナソニックで活用するなど、互いの良い部分を組み合わせることで収益力を向上できると見ている。

 佐野精一郎社長は「金融不安で、金融3社が保有する優先株について具体的に考えなければならないタイミングが早まった。三洋は中期経営計画の達成を最優先としており、グローバル競争を勝ち残っていく上で大きなシナジー(相乗効果)を見込める事業会社が最適だと考えていた」と説明。「パナソニックから物心両面の支援をいただけるのは、三洋の技術力や構造改革の成果を高く評価していただいたということ。事業のさらなる発展を目指していける」と円満を強調した。

パナソニックが欲しい「もう1つの大きな成長の柱」

 パナソニックは09年度までの中期計画「GP3」で、世界的優良企業(グローバルエクセレンス)を目指す方針を明らかにした。売上高10兆円以上、営業利益率10%以上などの指標目標に加え、CSR(企業の社会的責任)やブランドで業界トップクラスの評価がその条件だ。

 GP3では戦略事業として、デジタルAV、カーエレクトロニクス、生活快適実現(白物家電など)、半導体・デバイス──の4分野を挙げていた。だが世界的な景気後退がカーエレクトロニクスを直撃。自動車メーカーの深刻な不振のあおりで、同事業で10年度に売上高1兆円を掲げていた目標の達成は厳しい。さらに「デジタルAVは価格下落に見舞われ、白物はいずれ飽和するだろう」(大坪社長)という状況だ。

 このため「グローバルエクセレンスを目指すには、もう1つの成長エンジンがどうしても必要だ。三洋には魅力的なものがあり、パナソニックの経営資源を活用してもっとシナジーが見込めるものがある」。環境・省エネ長けた三洋の技術は「グローバルエクセレンスとは決して収益だけを意味するものではなく、環境への貢献なども含んだもの」と考えるパナソニックにも魅力的だ。

 白物家電やデバイスなど、両社で重複する領域もあり、大坪社長は「資産査定や両社ワーキングループで一番知恵を絞るのはそこだろう」と認める。だが「大きなくくりでは重複するかもしれないが、詳細に見ればマーケットやターゲットが異なるものもあり、重複はそう多くないかもしれないし、ラインアップの拡充と見ることができるものもあるだろう。単純に重複とするのではなく、よく見極め、シナジーを生み出す方向に持っていくことが大切だ」と、重複分野の早急な再編には慎重な姿勢だ。

 三洋の雇用とブランドの維持についてパナソニック側が了承したという報道に対し、大坪社長は「佐野社長は、危機を乗り越えてきた社員たちと経営計画の達成を見届けたいということ。ブランドについても、パナソニックは『ナショナル』ブランドを統一したが、長く続いてきたブランドを統一する時にどういう気持ちになるか、痛いほど理解できる」と、雇用・ブランドの維持に理解を示した。

 ただ「勝ち抜いていくため、甘いことだけではないことは佐野社長と理解し合っている」と釘を刺す。当面は現状維持に近い形でスタートし、三洋の事情と自主性を尊重しつつ、当面は経営計画の達成状況などを見守っていく姿勢を示した。

 佐野社長は「事業維持できない限り雇用も維持できないと考えている。厳しい事業もあり、三洋の判断で構造改革をやり遂げる」と話し、白物家電など不振事業のリストラの可能性を示唆した。

「1株70円」の優先株買い取り交渉の行方は

 パナソニックは資産査定を進め、三井住友銀行、大和証券SMBC、米Goldman Sachsの金融3社が保有する優先株約4億3000万株の買い取り交渉を進める。優先株は1株当たり10株を普通株に転換でき、3社の優先株をすべて普通株に転換した場合、議決権の約70%を占める計算になる。

 優先株の発行価額は1株700円。普通株10株に転換すると、1株当たり株価は70円となるが、三洋株価の7日終値は203円と大きく上回っており、転換後の希薄化や資産査定結果などを考慮すると、パナソニックと金融3社で希望価格に開きも出てきそうだ(三洋優先株の買収価格調整難航も パナソニックと金融3社の思惑)。

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